濱口竜介の作品はどこかシチュエーションコントっぽいとずっと思ってたけど、本作はまさにそれだった。
異なる3本の短編によるオムニバスだけど、何とも軽やかで味わい深く、ずっと面白い。初めて濱口作品を観る>>続きを読む
都会/田舎、居住者/移住者、人間/動物、親/子など、いくつもの対になる構造を持ったミニマルでアンビエントな作品。濱口作品の中では比較的コンパクトで、水挽町の美しい森のショットが時間の経過とともに徐々に>>続きを読む
色彩や光と陰影のバランスがとても美しく、ロンドンの町の薄暗さや建物の無機質な質感とアンビエントなBGMがとてもマッチしていた。
心を閉ざしたアダムの抱える喪失感や後悔、孤独の輪郭を丁寧に描き、亡き両>>続きを読む
レバノン内戦の時代を生き延びた母・ナワルの壮絶な人生を紐解いていくわけだけど、あまりにも重苦しい過去と衝撃的な話の終着点に思わず声が出た。
今なお続く中東戦争が時代背景になっているだけに終始不穏な空>>続きを読む
色濃く残るイギリスの階級制度やポッシュなカットン一家の傲慢さや自覚なき差別意識が見え隠れする感じがリアルで、全体的に昼ドラ的な味わいのあるサイコスリラー映画だった。なのに後味がスッキリするのが爽快。>>続きを読む
「古き良きアメリカ」の二面性を皮肉ったような1950年代のアメリカの光と闇をウェスならではのノスタルジーかつ芸術的な舞台美術と個性豊かな登場人物による群像劇に落とし込んでいるのはさすが。カメラの横軸移>>続きを読む
エリート階級の若者たちのエネルギッシュさと空虚さが同居している様は90年代の日本のドラマにも通じていて、とにかく群像劇として抜群で各キャラクターの個性と配置も絶妙。
それぞれが思いを抱えながらぶつか>>続きを読む
現実世界とファンタジーを行き来しながら、過去のジブリ映画のセルフオマージュ・小ネタを鏤めた宮崎 駿の遺言/生前葬と受け取った。ジブリ作品に特別思い入れは無いけど僕はとても面白かった。
とにかく岸井ゆきの心の機微を表情で魅せる演技が素晴らしい。
聴覚障害のケイコを通して見る映像だからこそ、観客も些細な生活音や日々の環境音にも敏感になり、普段は気にしない出来事や瞬間に気づきがあった。>>続きを読む
前半の父の死やチンパンジー・ゴーディーのインサートなど不穏な流れからの後半のスピルバーグよろしくなエンタメ展開に持っていったのは意外だったけどとても面白かった。
UFOに見せかけて…の捻った感じもあ>>続きを読む
観終わった後に久々に喰らってしまいずっと考え込んでしまった。今もなお余韻が続いているという意味では傑作かも知れない。
過去に撮影された夏休みのホームビデオを振り返りながら自分の視点、父親の視点、ビデ>>続きを読む
予備知識なしで観に行ったけどマルチヴァースをテーマにした劇場版クレヨンしんちゃんみたいな話で想像以上に面白かった。
マルチヴァースに人種、ジェンダーなどの多様性を盛り込みつつも、アジア系移民一世とし>>続きを読む
序盤からアニメや本、漫画、音楽など様々なジャンルの固有名詞がバンバン出てくるので、てっきり最後までサブカルネタ満載な感じかと思いきや、意外にも『ブルーバレンタイン』のような男女や立場、価値観のすれ違い>>続きを読む
店があるから人が集まって、人が集まるからカルチャーが生まれることを再認識する映画だった。
曲がりなりにもCDショップで働いた経験があったり、毎月CDを買ったり、レコードショップに通ったりする自分だか>>続きを読む
古のスラッシャー映画からの影響を感じる演出満載で、ゴア要素の強い惨殺シーンもツッコミ所満載なんだけど、殺しのバリエーションも豊富だし、クラウンの格好をした殺人鬼「アート・ザ・クラウン」のヴィジュアルや>>続きを読む
トレイラーで観た時は『ノロイ』っぽいと思ったけど、実際は『パラノーマル・アクティビティ』や『ヘレディタリー』なんかに近い印象。(あとは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』)
台湾の日本とも微妙に違う湿>>続きを読む
人と人は完全には理解できないからこそ会話を積み重ねていく。ジョニーとジェシーの関係性はもちろん、番組の取材で話す子供たちのストレートな言葉に心を打った。
モノクロのアメリカとラジオの相性はUSインデ>>続きを読む
団地という船の中で遥か遠い宇宙を夢見る。
ユーリのイマジネーションの描写が巧みで、住人の居なくなった団地の部屋をぶち抜いて繋ぎ、まるで宇宙船の内部のように作り変えるアイディアが面白い。彼を置いて出て>>続きを読む
冒頭の逆光によって翳る妻・音のカットから黒沢 清イズムは健在で、登場人物の抑揚のない台詞や、死んだ妻の音声が淡々と流れるカセットテープなど持続的に続く不穏さが独特のリズムを持っており心地よかった。特に>>続きを読む
架空の雑誌の内容をそのまま映像化したことによって、いつも以上に映像、台詞の文字情報の多さに圧倒され、字幕を追うと映像を追えなくなるという目紛しさに多少疲れたけど、舞台装置や美術・小道具、人物の配置、色>>続きを読む
コロナ禍以降の閉塞的な空気に寄り添うような地球滅亡モノでありながら、トランプ政権、陰謀論、政治的癒着、セレブゴシップ、SNS、ネットミーム、テクノロジー企業、専門家のスター化、暗号資産など現代社会に根>>続きを読む
音楽の町・オースティンを舞台に、音楽フェスの熱狂と儚さ、孤独を抱え、枷を背負いながら、思い描く理想や自由を求め、互いに傷つけ合い彷徨う4人の描写がとても生々しく、ドキュメンタリーやリアリティーショーを>>続きを読む
音楽映画ではあるけど要素の一つであって、追い求める夢に辿り着く象徴(偶像)としての伝説のレッドハープを取り巻く若者の青春劇だった。
レッドハープ探しに熱中していくにつれてバンドメンバー、職場、そして>>続きを読む
『君の名は。』で大衆性を手に入れ、その延長線上にセカイ系ファンタジー(設定には日本の風習や伝承なども含む)の物語を紡いだのはなるほど、と思った。ここ数年の台風被害を鑑みても、日本で地球温暖化などによる>>続きを読む
事前情報で得ていたほど難解ではなく、伏線回収もするし、むしろ最近のノーラン作品の中では空間の概念がない分、割と分かりやすかった印象(とは言っても終盤の順行⇄逆行の構造はこんがらがる)。
パラレルワー>>続きを読む
85分という上映時間なのでサクッと観れるのは良かった。
90sカルチャーをベースに、横暴な兄との関係性に不和を抱えたスティーヴィーが、外の世界(スケボーカルチャー)に逃避して様々な経験を積んで行くの>>続きを読む
とにかく出演者であり監督のビンの映す視点と聡明さが素晴らしかったし彼にとってこの作品はセルフセラピーとしても機能する。
キアー、ザック、ビンとそれぞれの家庭環境のバックグラウンドを掘り下げつつ、今を>>続きを読む
絶対的センターである平手友梨奈という輪郭をメンバーのインタヴューと過去の映像で象っていくのだけれど、要所要所で恐らくかなり重要な箇所がごっそり抜け落ちていたり、それ以外の部分でのメンバーの含みのある発>>続きを読む
今の時代らしいエンパワメントに満ち溢れた青春群像コメディー映画。思春期特有の自意識や思い倦ねる感情を笑いを交えながら(かと言って下品になりすぎない)パーティーに辿り着くまでの卒業前夜のドタバタ劇として>>続きを読む
シャイア・ラブーフの半自伝的作品なので、ドラマらしい盛り上がりも特にないので割と淡々としていた印象。
早すぎるキャリアの成功に伴う非日常な生活、問題のある実父との歪な関係性の苦しみと希求、大人ぶって>>続きを読む
池乃めだかをストーリーテラーとするドラマ版『学校の怪談』シリーズの第3弾で、黒沢 清、清水 崇、前田 哲が参加した今となっては豪華すぎるラインナップ。
『呪怨』のパイロット版の「片隅」「444444>>続きを読む
インターネット回線を伝ったホラー映画と思ってたら、後半急にディストピア展開に振り切れて笑ってしまった。
話としてはそこまでハマれなかったけど、黒沢監督の幽霊の描写は、間合い、空間配置、明度、動き、声>>続きを読む
大傑作。東出昌大演じる感情に抑揚のない麦と対照的に本人の素に近そうな亮平のコントラストが後半再登場する麦の気味悪さを際立たせるが、それ以上に掴みどころのないヒロイン・朝子の終始何を考えているか分からな>>続きを読む
人物のクローズアップ、自然光の取り入れ方、ミニマル〜アンビエントロニカな音楽など、儚くも美しい映像に目を奪われた。
台詞よりも構図や人物の表情、目線運びで心の機微を描写する演出がとても良くて、長らく>>続きを読む
ダンの脳内でアレンジが鳴り始めるシーンをはじめ、フィールドレコーディングでバンドメンバーを集めたり、町やビルの屋上でのセッション、子供たちのコーラス、元カレの留守電に残した別れの歌、二又のスプリッター>>続きを読む