みーちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

残された者-北の極地-(2018年製作の映画)

3.8

マッツ・ミケルセンのほぼ一人芝居だから、必然的に向き合わざるを得ないお陰で、彼の魅力を再認識することができた。"北欧の至宝”と称されているのも改めて納得。

過酷な雪の中、華麗な動きで魅せることもでき
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

5.0

久々に観たらやはり映画として完璧だった。
この"完璧"が、きっちり作り込まれたと感じさせないところが、すごく良い。以前はそれをバーナード・ハーマンの音楽が醸し出す雰囲気によるものだと思っていた。でも、
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RRR(2022年製作の映画)

3.5

あっという間の三時間だった。人物描写は繊細だけど、スケールとアクションは規格外。あまりにも堂々と超えてくるから、劇場で思わず声を出して吹き出してしまった(幸い隣りの席は娘しかいなかった)。

何度も、
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スリーピー・ホロウ(1999年製作の映画)

3.7

予想より面白かった。このジャケ写では伝わらない気がする。本当はすっごく怖いお話だけど、ファンタジー前面なバランスも良い。

首なし騎士の剣捌きと、"死人の木"の根本から馬ごと飛び出してくる登場の仕方も
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ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.5

Ⅱを先に観たら、マイケルが何故こうなってしまったのか再確認したくなり、Ⅰも久々に観た。

もう忘れているかと思いきや、大筋と主要人物をよく覚えていたので驚いた。ストーリー、キャラクター設定、数々の食卓
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ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.0

久々に観た。本来は順を追うべきだけど、先日ディアハンターを観て、若かりしロバート・デ・ニーロに感銘を受けたので、敢えて続編から観た。

(私はディアハンターと言えばクリストファー・ウォーケン!と思って
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ディア・ハンター(1978年製作の映画)

4.2

デ・ニーロとクリストファー・ウォーケンの30代の演技をスクリーンで観れて感激。ロシアンルーレットが脳裏に焼きついていたので戦場メインという記憶だったが全く違った。

あの強烈さは、ホームタウンでサンド
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.7

すっごく面白かった。音楽も効果大で、めっちゃ良い。気になっていたのに観れなかったのは、もっと暗いトーンの作品だと思っていたから。そして容赦ないセックス&バイオレンスの描写があると思っていたから。それな>>続きを読む

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

2.0

フィンランドのホラー。主演のシーリ・ソラリンナとお母さん役のソフィア・ヘイッキラが熱演なので、真剣に怖がりたいと思いつつ、全編に渡って"これ冗談だよね?"という気持ちが払拭できなかった。しかも、笑える>>続きを読む

エイリアン(1979年製作の映画)

3.5

初めて観たのは、たぶん小学生だけど、記憶に刻まれていたポイントが今も同じだった。とにかく初動対応からリプリーの判断が正しい。ケインが一時的に回復するのもいい。テクノロジーの描写も渋い。あとノストロモ号>>続きを読む

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.0

皆さんのレビューを読んで、重いのだろうと覚悟して観た。確かに重くはあるけれど、鑑賞中は先がどうなるのか、由宇子がどうするのか気になり、ミステリー的な要素も楽しめた。

そして誰もが被害者にも加害者にも
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.5

事実に基づくフィクションとしておもしろかった。良い。続けて二回観た。

とにかく全編に渡り、一瞬も笑顔が無い。そして韓国の屋外シーンでは、通行人や市民の姿はおろか、対向車や一般車両が映り込む場面すら無
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カビリアの夜(1957年製作の映画)

4.5

フェリーニが37歳の時の作品と考えると本当に凄い。そして、1957年の作品とは思えない。古さを全く感じない。

8 1/2は、若い頃よりポジティブなメッセージを受け取ったのが新たな発見だったが、本作は
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ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.0

ホラーと言うより、それだけでは終わらない行間から伝わる感情の豊かさと青春がある。原作が短編小説だと知り、なるほど!と思った(ジョー・ヒルの原作を読みたい)。

映像から感じるのは、とにかく家庭内と家庭
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8 1/2(1963年製作の映画)

4.5

午前10時の映画祭。劇場で観ることができて良かった。

若い頃は、幻想的な世界観が印象的だった。それはそうなんだけど、同じくらい現実的なストレスや強迫観念にも重きが置かれていて、何だか身につまされた。
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必殺!III 裏か表か(1986年製作の映画)

3.9

必殺のTVシリーズは子供の頃に大好きだった。私の中での仕事人は、山田五十鈴や中条きよし(!)自分の記憶の古さにショックを受けつつ、好きなキャラクターは、上司の田中様、せん&りつ、鮎川いずみだったので、>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.0

私は"障害"は人ではなく社会にあると思っていて、シンプルに言うと、多数か少数かの問題。で、社会は多数者中心に作られているから少数者側に障害が生まれる。

本作は主人公ルビーが、家庭の中と外で、マジョリ
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オーメン(1976年製作の映画)

3.5

子供の頃にテレビで見て、本気で怖かった記憶がある。今ならどんな風に感じるかと思って観た。

先ず、主演がグレゴリー・ペックだったなんて、びっくり。リー・レミックも妻役にぴったり。駐英大使の理想的な暮ら
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ブラックボックス:音声分析捜査(2021年製作の映画)

4.0

フランスの映画。主演のピエール・ニネは、イヴ・サンローラン財団公認の伝記映画「イヴ・サンローラン」が印象的だけど、やはり良い役者だなーと思う。

私はこの人には独特の魅力があると思っていて、派手さは無
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浪人街 RONINGAI(1990年製作の映画)

4.0

凄まじかった。原田芳雄は魅力的だけど、良い意味で色気と毒気(?)が強すぎて正視できない。私はまだまだ未熟者だなーと思う。だから自分の中で、石橋蓮司が主人公だと、少し視点をずらして見るとちょうど良い。>>続きを読む

ディープ・ブルー(1999年製作の映画)

2.0

映画を見て久々に腹が立った。そして、こんなことで腹が立つ自分に笑えた。

◇新しくない作品なのでラストに触れます。鑑賞済みのかた向けです◇

とにかくスーザン。最初からイケ好かないと思っていたら、表情
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.3

おもしろかった。この映画でしか味わえない満足感がある。私はジョーダン・ピール監督の前ニ作より好き。

全ての要素が緻密に練り上げられ、意味が仕込まれているとは思うが、捻った深読みはせず、難しく考えず、
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.9

ダニエル・クレイグ演じる私立探偵ブランが、英国紳士然としているのに、どこか掴み所のないキャラクターで、渋いのにコミカル味があり、この絶妙さを醸し出すのって難しいと思う。だからシリーズ化されるのは分かる>>続きを読む

ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

4.5

クローネンバーグ監督の世界を心から楽しめた。
オープニング、てっきり劇中劇の設定かと思い、尋常じゃなく緊迫した場面だなぁと見ていたら、劇中劇ではなく精神科医の公開診療だと分かり「どうりで真に迫っている
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子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる(1972年製作の映画)

3.5

若山富三郎の子連れ狼はずっと観たいと思っていた。監督は三隅研次だから間違いない。やっと観れて嬉しい。

公儀介錯人が背負うものが端的に理解できる導入部分と、オープニング(大五郎の無邪気さと音楽とのギャ
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かもめ食堂(2005年製作の映画)

3.9

世界幸福度が5年連続No.1のフィンランド。残業が無く、有給休暇の取得はほぼ100%、長期休暇が当たり前。なのに1人あたりのGDPが日本の1.25倍で経済と両立している…。先日、そんなフィンランドに学>>続きを読む

1640日の家族(2021年製作の映画)

3.8

何の前情報もなく観た。日本よりずっと里親制度が進んでいるフランスで、当事者たちが何故こんなに苦しまなくちゃならないの⁉︎ 観客まで、どうしてこんなに辛いの⁉︎ って思った。

鑑賞後、本作は監督のファ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.3

予想以上に良かった。週末の夜、この映画に出会えて少し幸せな気分になった。この「少し」という感覚がとても心地よい。そんな作品だった。

私たちの迷い、選択肢、紆余曲折など。他者の目には見えないものを、ユ
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アザーズ(2001年製作の映画)

4.1

紫外線アレルギー、ポストモーテム・フォトグラフィー、戦争未亡人など。物語に絡む要素の全てが胸に刻まれる。その刻まれ方が、とても良い。鑑賞後もずっと心に残る。行間の表現力が豊か。


◇ここから本編に触
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東海道四谷怪談(1959年製作の映画)

4.2

映像の美しさ、格式高さに圧倒された。そしてこの世界観に相応しい天知 茂に魅了された。

とにかく彼が映っているだけで画面のパワーが増す。言い換えると、彼がいないシーンは物足りなく感じる。無意識のうちに
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怪談お岩の亡霊(1961年製作の映画)

3.7

負のパワーが凄すぎて、おもしろかった。
伊右衛門は、人間として最低で、卑劣で、軽蔑しか抱かないのに、そんな若山富三郎が超セクシー。

近衛十四郎が演じた直助は、作品全体のテイストを左右する重要な役で、
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.2

良かった。是枝監督の映画は"誰も知らない"しか観ていないが、韓国製作なので観た。細部を振り返るために、もう一度観に行くかもしれない。

良かった理由として、映画の進み方と自分のペースが同期した、という
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呪詛(2022年製作の映画)

2.0

"独特なスタイルで撮影。興行収入は1億7000万ニュー台湾ドル(約7億6500万円)を突破し、オリジナル・ホラー映画としては台湾映画史上1位の興行収入を記録した"というので早速観た。

私はこの演出が
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暗数殺人(2018年製作の映画)

4.1

キム・ユンソクが見たくて観たら、なかなか渋くて熱い作品だった。連続殺人事件、サイコパス、警察などのキーワードで連想する、いわゆる韓国のサスペンス映画とは一味違い、良い意味で予想を裏切られた。

キム・
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.0

主要人物を演じた役者達が良い。キム・ユンソクは"チェイサー"で大好きになったのだけど、どんなシーンでも、どんな相手とでも、相乗効果を最大限に引き出し、緩急自在なところが本当に凄い。

それに対し、北朝
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ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀(1990年製作の映画)

3.9

ゾンビ映画は経験が少ないので観た。せっかくなら1968年作にしようか迷ったけど"原典をほぼ踏襲しているが、怯えているだけだったバーバラが次第に強い女性として変貌していく"と書いてあったので、敢えてリメ>>続きを読む