ひでやんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ひでやん

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獣道(2017年製作の映画)

3.4

孤高アナンダ七変化。

幼い頃から母親の愛に飢えていた少女、愛衣。新興宗教にはまった母親により宗教施設に入れられ7年間世間から切り離される。富士山麓の教団施設っていえばあれか?完全にあの宗教だよな…こ
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今日から俺は!! 劇場版(2020年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

今日も元気にドカンをきめたらヨーラン背負ってリーゼント。

たまには福田雄一でホッと一息。劇場版として構えて観ると、作品全体のテイストがドラマと何ら変わらなかった。

ひとつの山を越えたら更に高い山が
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劇場(2020年製作の映画)

3.9

縦のヒモはあなた
横の糸はわたし
織りなす布はいつか綻ぶ…。

無精ヒゲを生やし、髪はボサボサで無気力な男を演じた山崎賢人。今までのイメージとは違うダメ男役は良かった。こんな役もできるのかと感心したが
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

4.0

想像を絶するゲームの結果は、意地悪ハネケの反則勝ち。

太郎君が隣人に卵を4個もらい4個落としました。また4個もらい落としました。さて問題です。太郎君の目的は何でしょう?

はあ…しんどい。こってりラ
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鏡の中の女(1975年製作の映画)

3.8

壊して、晒して、対話して、乗り越えるセルフ・カウンセリング。

夫が出張中に妻が浮気する話だと思っていたが、「私をベッドに運ぶまでの手順を教えて」ときた。参ったぜ。あわよくばっていう展開を心の片隅で期
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蛇の卵(1977年製作の映画)

3.7

卵の薄い膜を通して蛇の姿が見えても、その卵を潰す術はなし。

舞台はナチス台頭以前の不況にあえぐドイツ、ベルリン。誰もが過去のこととして知っているナチ極右政権の誕生はやがて来る未来で、その未来を「蛇の
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.9

女の幸福とは何か?

南北戦争時代を生き抜く4姉妹の絆と成長を、作家志望の次女の視点から描く今作だが、そう言えば『若草物語』は一度も観た事がなかった。序盤は姉妹の視点が切り替わったり、姉妹が揃えばワチ
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

命がけで様々なアクションに挑んだトム兄さん、ありがとう。

2部作のpart1でありながら上映時間がシリーズ最長の2時間43分という事で、長えなと思いながらも劇場へ。今作の感想とはまったく関係のない話
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.6

救いのない共依存。

クソ男に捨てられ、子供をクソみたいに扱うクソ女の話で、見る側をここまで胸糞悪くさせる役者の演技は見事。阿部サダヲのクズっぷりは流石だが、負のオーラが全身に纏わり付いていた長澤まさ
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白いリボン(2009年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

抑圧された心に芽生える悪意。

第一次世界大戦を直前にしたドイツの小さな村を舞台に、次々に起こる不可解な事件と、不穏な空気に包まれた村人達を描いたクライム・ミステリー。

村人の相関図を頭に入れるのに
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はちどり(2018年製作の映画)

3.6

大人と子供の間で揺れ動く繊細な心。

家のチャイムを押してもドアを開けてくれず、まさかの階数間違えというオチになる冒頭から少女の孤独が感じられた。親の無関心が少女に、帰る場所がない、居場所がないという
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ある結婚の風景(1974年製作の映画)

4.0

犬も食わぬ夫婦喧嘩をのぞき見する5時間。

結婚10年を経た夫婦の離婚を描いた物語で、5時間のドラマを観るのは骨の折れることだが、50分で区切られた6話のエピソードで構成されていたので随分と気が楽にな
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道化師の夜(1953年製作の映画)

3.8

暮らしは浮草、魂は雑草。

道化師を描いた今作が興行的にコケて、フェリーニの『道』が絶賛されたので、ベルイマンは歯痒い気持ちだっただろう。今作の巡業サーカス団にあるのは差別、貧困、屈辱、憐憫とまあ、ど
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ホドロフスキーのサイコマジック(2019年製作の映画)

3.5

言葉を超越した行動は、無意識に訴えかけて解放する。

ホドロフスキーが考案した心理療法の実践で、リハーサルも撮り直しもない記録映像となっている。心に深い傷を負った者たちが癒やしを求めて涙ながらに語り、
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デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.7

ドラキュラ撮ってもゾンビ撮っても、やっぱりいつものジャームッシュ。

ファーストカットは墓場だが、村人が襲われるという挨拶代わりの一撃もなく、穏やかに始まる警官コンビの会話。ビル・マーレイの顔を見るだ
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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

3.7

悪、爛漫。

受精からヴィランになるまで、自らの生い立ちをアニメ仕立てでざっくり説明するので、冒頭からジョーカーのような重苦しさは皆無。どっかーんとジョーカーへの絶縁状を叩きつけ、束縛から解放されたハ
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ナイチンゲール(2019年製作の映画)

3.8

翼を折られたナイチンゲールと、巣を奪われたクロウタドリが、イギリスという籠の中で美しく鳴く。

きついわ…。黒く重い感情が胸中に流れ込み、それがどんどん溜まっていった。将校ホーキンスの鬼畜ぶりに胸やけ
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ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

3.6

波乱に満ちたミュージカル女優の伝記。

『オズの魔法使』から30年後、子供たちとの生活を守るためにロンドンのステージに立ったジュディ・ガーランド。彼女の晩年は苦悩の日々だったんだな。不安定な精神状態で
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オズの魔法使(1939年製作の映画)

4.5

夢は遥か遠くに、大切なものはすぐそばに。

久しぶりに観たけど、やっぱり楽しかったな。童心に帰ったのもひとときで、明日になると忘れちゃうんだろうな。セピア調で始まる序盤、見上げた空に想いを馳せて歌う「
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スキャンダル(2019年製作の映画)

3.5

TV業界の帝王にぶっ放すキャスター砲。

全米最大のTV局FOX内で実際に起きたセクハラ事件を題材に描いた女性たちの戦い。いつの時代にもどこの企業にもある問題だが、ジャニーズ事務所が騒がれているタイミ
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

観客をバッドトリップさせるフェスティバルスリラー。

スローなテンポに少し飽きちゃって、そのくせ変な浄化作用を受けちゃって、評価が難しい。アリ・アスターが仕掛ける映像ドラッグは妙な中毒性があってヤバイ
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.7

祖母の死をきっかけに狂い出す家族の悲劇。

「21世紀最も怖いホラー映画」として絶賛された今作は、ビクッと飛び上がる怖さではなく、じわじわと精神を蝕む気持ち悪さがあった。胸中にベッタリと何かが纏わりつ
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.0

戦場を駆け抜けるトラッキング・ショット。

今作は伝令兵を「ワンカット」で追う映画という事で話題になっていたので、冒頭からカメラワークばかり意識しちゃって、カットの繋ぎを感じさせない長回しの映像に深く
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草原の実験(2014年製作の映画)

3.8

思いがけないラストに絶句。

冒頭のシーンが羨ましい。一度でいいから羊の枕で昼寝したい。見渡す限り続く草原にポツンと一軒家。そこで父と暮らす少女の美しさに心奪われる。心を射抜くような真っ直ぐな瞳が瞼の
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ベルイマン監督の 恥(1966年製作の映画)

4.2

耳にまとわりつく絶望のノイズ。

タイトルバックとともに不穏な音が流れ、その音は次第に大きくなり、孤島で暮らす夫婦の日常に鳴り響く。故障中だったはずの電話が鳴り、平日なのに教会の鐘が鳴る。そして戦闘機
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愛欲の港(1948年製作の映画)

3.5

ベルイマンの独特な演出が垣間見える初期作品。

元船乗りの港湾労働者と、投身自殺を図った女の恋物語。放題の「愛欲」がねえ…なんか違うんだよな。「港町の恋」でいいんじゃないか、普通過ぎるか。

冒頭、海
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太陽の家(2019年製作の映画)

3.0

半端な優しさはお節介となり、徹底した優しさは感謝となる。

『英二』以来20年ぶりとなる長渕剛の映画主演作だったので、大の剛ファンである自分は大喜びだった。しかし、期待よりも不安の方が大きくなり、なか
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ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

4.1

眼福を得る旅路。

エレノアを演じたダコタ・ジョンソンがとにかく可愛かった。もう彼女が画面に映る度に見惚れてしまい、目の保養になった。そんで、タイラーとザックを見ていると心の保養になる。やっぱロードム
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.1

オマージュに満ちた屋敷の中で、予定調和を壊す遊び心。

洋館、富豪の死、一族全員容疑者で名探偵登場という王道ミステリー。既視感を覚えまくっていると刑事が「ベタなミステリーの舞台みたいだ」というから笑っ
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

4.1

脳裏に蘇る懐かしい少年時代。

CMソングでも有名な久石譲作曲の「Summer」が冒頭で流れ、郷愁に満ちた旋律が心を優しく包む。学校帰りに商店街を歩く2人の少年、ゲーセンの前にいる不良を見つけて立ち止
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HANA-BI(1997年製作の映画)

4.5

花の命は短くて苦しきことのみ多かれど、風も吹くなり雲も光るなり_林芙美子

初見の時はいまいちな感想だったが、久しぶりに再鑑賞すると「こんなにいい映画だったのか」と思った。生と死の対比が全編通して描か
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.3

心のヒトラーをぶっ飛ばせ!

イマジナリー・フレンドに鼓舞され、絶叫しながら家を飛び出す少年。そして流れるドイツ語版ビートルズ。大衆を熱狂させた声は「さあ、君の手を」と歌い、同じく大衆を熱狂させるヒト
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.2

加速する高揚感。

ル・マンで開催される24時間耐久レース。そのレースをスティーヴ・マックィーン主演で撮った映画は、本物を追求するあまりレース以外のストーリー性は削ぎ落とされ、ドキュメンタリー・タッチ
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.4

卓越した演出力で描く韓国の格差社会。

軽快なテンポで進む前半は痛快。信頼を勝ち取りながら、次々とパク家に潜り込む寄生大作戦は上手く行き過ぎではあるが、欲にまみれた俗世間のトゲも毒も知らぬ金持ち奥様の
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

3.5

ギフトか災厄か。

原作未読で鑑賞した結果、高揚感を何度か覚えたものの、感動までには至らなかった。音楽の出会い、葛藤、挫折などの心理描写、友人や家族などの日常描写がないまま冒頭からコンクールに突入し、
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少年と自転車(2011年製作の映画)

3.9

断ち切られる心と結ばれる心。

ばーいしこ♪ばーいしこ♪と頭に流れる序盤、タイトルとなる「自転車」は単なる移動手段に思えて、あまり意味を見いだせなかったが、後半になってその重要性を感じた。

音信不通
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