nuさんの映画レビュー・感想・評価

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ミナ(1993年製作の映画)

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カメラを直視する登場人物、ミニチュアや繰り返しを使用したつなぎ方、物語そのものとはあまり関係のないナレーターなど、技術的な面では独自のスタイルが確立された作品で好きだった。ただ、より登場人物たちに感情>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

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トーキングヘッズのことをよく知っているわけではなくても十分に楽しめる公演。理不尽なことばかりが起きていて、抗議したり投票という形で自分の意見を表明したりすることを諦める人びとが出てくるときにこそ、ユー>>続きを読む

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

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ヨーロッパへの幻想が詰まっている作品。形式的な、いかにも映画に出てきそうな台詞でさえも、興醒めすることなくロマンチックな雰囲気を作ることに寄与していた。ジェシーがセリーヌの髪を直そうとしたとき、セリー>>続きを読む

正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

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後半では監督がより正直にヒジョンと向き合っているにも関わらず、非現実的なホン・サンスの幻想であるように感じられた。登場人物数人とのやりとりを省いたのも不自然さの要因である気がする。だからといって後半が>>続きを読む

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

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テルマとルイーズは男性が優位な社会に継続的に抑圧され、正当防衛の代わりに逃げることを選択せざるを得ない。このことをふまえると、二人の「旅」を追うのは辛いものがある。しかし、二人は自由も同時に獲得し絆も>>続きを読む

リュミエール!(2016年製作の映画)

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リュミエール兄弟の作品を観るときに新しい視点を与えてくれるドキュメンタリー。50秒という短い時間、そして位置が固定されたカメラを使ってもあれだけの作品を残すことができるということに彼らとチームの偉大さ>>続きを読む

(ハル)(1996年製作の映画)

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台詞は少なめでメールのやりとりや二人の生活の映像を中心に映すため、サイレント映画に近いものがある。音楽も大きな役割を果たしていて、90年代の東京の雰囲気によく合っていた。映画はとてもロマンチックに仕上>>続きを読む

スティング(1973年製作の映画)

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再鑑賞。自分の中のクラシック。映画鑑賞にハマる前に初めて観たが、物語の展開や構成そのものに興奮し魅了された記憶が鮮明に残っている。そのときよりもたくさん映画を観た今はやや分かりやすいところもあると感じ>>続きを読む

泥棒成金(1954年製作の映画)

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サスペンス映画というよりはロマンティックコメディとして楽しんだ。カーチェイス・キスシーン・フランシスのお母さんとのシーンなど、笑える箇所が多く好きだった。ケーリー・グラントが好きで観始めたが『裏窓』の>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

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リドリー・スコット版の世界を越えることはなかなか難しいが、ドゥニ・ヴィルヌーヴは同じくらい壮大で美しいビジュアルを仕上げた。ハンス・ジマ―の音楽も映画全体の雰囲気を作り上げることに寄与していると思う。>>続きを読む

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

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自分の記憶に長らく残るであろう映画。人物は様々な角度で捉えられ、いくつかのショットが衝突するようにつなげられるなど、独特なスタイルの映像が印象深かった。さらにこれほど音楽が効果的に使われている作品を観>>続きを読む

ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム(2000年製作の映画)

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スポーツに恋愛が絡んだ映画には「成功した彼氏と彼を支える存在感の薄い彼女」の構図がよく存在するように感じる。今作ではモニカがプロバスケ選手を本気で目指している点と、彼女の人生が必ずしもクインシーを中心>>続きを読む

恋のエチュード(1971年製作の映画)

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トリュフォーはぐちゃぐちゃな恋愛が本当に好きみたいだ。今作の中身は露骨で挑戦的。お気に入りは、妹が自身の性的欲望、快楽への中毒を赤裸々に読み上げるシーン。カメラを直視する彼女の目がクロースアップで捉え>>続きを読む

柔らかい肌(1963年製作の映画)

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ランスでの夜のシークエンスが一番好き。ピエールが窓を隔てたところにいる二コルのことを心配しながら、目の前にいるおしゃべりな友人の相手をしなければならないのが、緊張感と笑いの両方を引き起こす。フランソワ>>続きを読む

終電車(1980年製作の映画)

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『アメリカの夜』に似た舞台裏を主題にした作品だが、今作には公演が失敗に終わる外的な理由が当然ながらさらに多い。戦争・占領が芸術に干渉し、同じ業界にいる人ですら、命の危険をもたらす可能性があるのだ。この>>続きを読む

ピアニストを撃て(1960年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

かなりごちゃごちゃしているが、カメラワークと編集で実験を繰り返した、活きた映像になっている。トリュフォーは初期から走る登場人物を捉えた疾走感溢れるショットや、何か大きな事件が起きる前にドラマティックな>>続きを読む

突然炎のごとく(1961年製作の映画)

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ジュールとジムは稀な友情を持つ。カトリーヌの登場でホモソーシャルになり得るところだが、特異な関係が続くのはジュールがカトリーヌをほぼ崇拝するかのように溺愛しているからだ。しかし、悲しいことに肝心のカト>>続きを読む

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

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再鑑賞。若尾文子のかわいらしさにまた虜になる。川口浩との相性も良い。増村保造の他の作品をもう少し観た上で再度これを観ると、ここでもブロッキングを巧みに使うなどした整ったショットが多いことに気づかされる>>続きを読む

絶好調(1965年製作の映画)

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鉄格子で隔てられたキャンプ場はまるで刑務所のようである。エテックスが『健康でさえあれば』から短編として独立させたものらしいが、なぜその選択をしたのか気にならざるを得ない。長編の後半部に含めれば、短編も>>続きを読む

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

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これもまた何かが上手くいかない人たちの物語。前半の二編は純粋な娯楽としてある。読み手の状態に合わせて小説の世界が逆さまになったり揺れたりなどするのが面白い。映画館の中の心地悪い角度がいろいろと見せられ>>続きを読む

Valimo(2007年製作の映画)

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休み時間に工場から離れた労働者たちが観るのは、また違う世界で工場を出ていく人びと。カウリスマキの映画愛が最も直接的に示されていて短いながらも最高の映像。映画館の入り口のターコイズの壁が素敵。

Bico(2004年製作の映画)

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カウリスマキなら出稼ぎの労働者に焦点を当てそうな気もするが、村に残された人びとに注目が寄っていたのが新鮮だった。冬の自然や、気持ちよさそうに陽に当たりながら目をつぶる老人など美しいショットが多かった。

破局(1961年製作の映画)

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驚くほどに何も上手くいかない主人公。ああってなった瞬間に思った通りのことが起きるのだが、主人公だけが数秒後に気づく。計算された絶妙なタイミングの連続に引き込まれる。それにしてもなんという終わり方…

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

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チャップリン監督作を観るのはこれで二作目だが、ユーモアよりも悲しみが強い気がする。この作品では多くの人が貧困に陥る。人間は機械を使い、人間もまた機械のように扱われている。主要な登場人物も時代の困難に直>>続きを読む

日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

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緊張感あり喜劇的要素もありの定番の犯人捜しもの。ヒッチコックの影響が色濃く見られる。もふもふの子犬がファニー・アルダンにぞろぞろとついていく始まりからすでに楽しい。率先して素人探偵になりきるバーバラと>>続きを読む

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

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陸前高田市の元避難所で「戦場のメリークリスマス」を弾き始めたとき、なぜか泣きそうになった。坂本龍一の音楽制作をちらっと見られること自体が貴重で、特に自然の音を録ってその結果物を聴いているときに笑顔にな>>続きを読む

青空娘(1957年製作の映画)

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青い空を見上げるように撮られたショットに代表されるような、心地良い作品。実に簡潔に機能不全の家族、恋愛関係、都市での生活といったテーマを入れることに成功している。このような主題は憂愁を持って描かれるこ>>続きを読む

妻は告白する(1961年製作の映画)

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多様な構図や配置に魅了された。複数の人物を一つのフレームに収めたり様々な角度から撮ったりするなど、台詞が重要な役割を果たす劇の中で切り返しよりも面白いショットがいろいろ見られた。
妻はファムファタール
>>続きを読む

逃げ去る恋(1978年製作の映画)

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シリーズを完結する作品としてはやや怠惰な感じが拭えない。それでもアントワーヌの最後の旅路を見守る価値はあるだろう。女性に焦点が当たっていることが救いで、一定の深みをもたらしている。相手に自分の全てを与>>続きを読む

家庭(1970年製作の映画)

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軽快なタッチで描かれる結婚生活。食料品の買い出しを忘れたからといって外にまた出るのではなく、家にあるベビーフードを食べさせ合う場面の魅力は語りきれない。しかし、アントワーヌは小さい頃と変わらず浮遊して>>続きを読む

夜霧の恋人たち(1968年製作の映画)

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ばればれな尾行とぐちゃぐちゃな包装。選ぶ仕事に一癖あって、なかなか下手なのがアントワーヌらしくて好きだし、どこか慰められる。恋は変わらず上手くいかなくて、鏡の前で神経衰弱を起こすのも、可哀想だけど少し>>続きを読む

あこがれ(1958年製作の映画)

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明らかに気味悪いことをやっているのに、まだ小さいからとほろ苦い感じを残すところがあまり好きになれず…初めからリュミエールっぽいなと思いながら観ていたら『水をかけた散水夫』のオマージュが諸に出てきて驚い>>続きを読む

アントワーヌとコレット/二十歳の恋(1962年製作の映画)

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出会いの場面は、アントワーヌ・コレット・オーケストラのショットを交互に映しているだけなのに何とも上手く機能している。アントワーヌが惹かれていく様子が、大音量の音楽を背景にして徐々にカメラが人物の顔に近>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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大好きなウェス・アンダーソンの作品に対してこんなこと言いたくないが、あまりしっくりこなかった。そういう気分じゃなかったのか。なぜだ…彼の作品が好きなのは憂鬱や痛みや悲しさが根底にあるからだ。これらの感>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

この規模と長さで撮られる必要のある物語。虐殺を目にするのは痛ましいが、白人男性の悪と偽善を正当化する隙を見せないことが重要であった。終盤のアーネストとモリ―の会話は、アーネストの表面上の家族愛とおじか>>続きを読む

ボーイズ・ステイト(2020年製作の映画)

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面接で国や政治への熱意を語ったはずの男子高校生たちが大勢を前にノリに任せて暴論を吐く様子は悍ましく、現実的でもあった。先導者に選ばれるのはまだまともな人なのが幸いなのか…このドキュメンタリーがどちらの>>続きを読む

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