buchikenさんの映画レビュー・感想・評価

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哀しき獣(2010年製作の映画)

3.5

ノワールを意識した暗い画面、追跡、血みどろの格闘、間抜けな警察、宗教批判。

前作「チェイサー」を拡大再生産したかのような作品でした。

しかし本作の方は今一つ纏まりに欠ける印象。

それはあるターニ
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華麗なる晩餐(2008年製作の映画)

4.1

前作長編「渦」から約8年のブランクを経て公開されたこの短編は、現在のドゥニ監督が撮る映画の特徴を既にいくつか持っています。
暗く統一された色調(今作は緑)、霞掛かった背景、スキンヘッド、低音が効いた音
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チェイサー(2008年製作の映画)

3.8

なかなか良い🙂

早く早く急いでーっ!を推進力にしつつ、犯人の住所を特定するまでの単純なお話を、核心をわざと外しながら延々と物語は進む。
いくらなんでも警察無能過ぎやしませんか?
と思いきや、モデルに
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

ドゥニ・ヴィルヌーヴは劣化したのだろうか?

極端なクローズアップが多く、鳴りっぱなしの音楽、限界まで引き上げられた音量(前作では劇場のスピーカーが壊れたと苦情が来たとかいう話もある)は、上映時間の長
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.5

ネタバレ注意⚠️

この作品は亡き母親へのラブレターだ。
それと同時に監督自身の迷いと自信が垣間見える。

ウェス監督作を語る前には、基本的な情報が必要だ。
ウェス・アンダーソンが8歳の時に両親が離婚
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

1.0

注意!核心には触れてませんが若干のネタバレを含みます。

これはSFというより、ただロボットを擬人化させただけじゃないのか?

AIについての哲学がそれほどあるわけでもないし、人間についての深い洞察が
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

表層の物語は、児童小説ではよくあるパターンの行って帰ってくるストーリー。画面のクオリティが高いので、絵を観ているだけでも楽しめた。
しかし、ストーリー運びは前半は分かり易いが、後半になると場面場面が繋
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

こんなに観るのが楽しみな作品は久しぶり。
前評判の高さから今か今かと待ちこがれました。

これだけ複雑で膨大なマルチバースを構築して、尚且つ考えさせられ、最後は思いっきり泣かせる。
見事です!

マル
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東京物語(1953年製作の映画)

4.0

全編に渡り均整のとれた画面が、作品の品格を高めている。
風景のショットは、近景を強く意識させる物の配置で、浮世絵を思い起こす。
小津監督の特徴である会話中挿入される正面からのショットは、違和感がありて
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.0

映像は最高。
しかし物語は前作から一歩も進まずに終わる。
もう次は観ないだろう。

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

4.5

「love life」
そのタイトルの出る意表をつくタイミングとジワジワくるその意味。
矢野顕子の歌う「love life」がそれを増幅させるように流れる。
そうだ、自分もこの人達と同じようなもんなん
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バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

3.9

20年ぶりに再観賞する。
初見では結構面白かった印象が残っていたが、後半の正にタネ明かしの部分の記憶がすっぽり抜け落ちていた為に、結構普通にこの先いったいどうなるの?とグイグイのめり込んでしまった。
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アムステルダム(2022年製作の映画)

1.0

途中から何度も眠ってしまったし、途中で席を立とうとも思ったけどなんとかかんとか最後まで観られた。
各俳優の個性が強過ぎて胸焼けが、、、。
いい役者の無駄遣いだよー。

渇きと偽り(2020年製作の映画)

3.9

派手な事は殆ど最後まで起こらない。
ミステリー小説を読んでいる感覚に近い静かな映画です。
20年ぶりに故郷に戻ってきた刑事が、現在の事件を追ううちに過去の出来事と向き合わざるをえなくなるという、どこか
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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.2

自転車泥棒に似た感じがある。
善人なのに、どんどん良くない方向へと進んでいく。
画面に映る車がどれも古くボロボロなのが、経済的に厳しいイランを象徴しているようで印象的だった。

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.0

ブサイクが主人公でも全然イイのだ!
アニメの女の子は可愛くなければダメなんて嘘だよね。

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.0

面白くてちょっと哲学的などう生きるかについての映画。
運命の女性に出会い目覚める系のお話は沢山あるけど、その逆って見たことないなあ。
何でだろ?

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.7

トップガンの要素とは、カッコいいオープニング、カッコいい曲、トム・クルーズ、空中戦、裸、そしてF14ということか。
ドラマ部分は80年代のようで正直眠たい部分もある。でもフライトシーンは大迫力スタイリ
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さがす(2022年製作の映画)

4.5

どこに転がっていくか判らない面白さがある。
佐藤二朗はいつも通りクセが強いが、浮いていないし、むしろそれがこの役に多面性を持たせているので適役です。
娘役の伊東蒼は独特の魅力があり、目が離せない。
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犬王(2021年製作の映画)

3.9

湯浅監督の集大成的な表現の数々。
単純な線で良く動くキャラクター。
色彩はモノトーンに近いけど、差し色とカメラワーク、速い展開でグイグイ世界に引き込まれる。
前半は興奮しっぱなしだった。

ただ…後半
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.0

75歳で安楽死を選択出来る世界を体験した結果は、こんな世界は嫌という結論に至った。

FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.8

相当厳しい大変な体験をしてきたわけだけど、それでも幸運な方に入るんだろう、というのが恐ろしく悲しい。

虐殺器官(2015年製作の映画)

3.0

2000年代最高のSFというので鑑賞してみた。
ラストの意味が判らないので、wikiで原作のあらすじを見たらよく判りました。
構造が黒沢清監督「cure」そのままじゃん!と思っていたら作者本人が「cu
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

素晴らしい!非の打ち所がない、演技、ストーリー、演出全てにおいて。

本作の要素は、ほぼ全部オリジナル作品の「エール」にありますが、見せ方をよりエモーションが高まるように工夫されているため、観賞後の満
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.4

整合性など皆無、毒にも薬にもならない、ただただ甘いスイーツのようなファンタジー恋愛ドラマ。
だけど…だけど…大好きだー。

なんといっても主演2人が魅力的。
リリー・ジェームズはひたすら可愛く(たとえ
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我等の生涯の最良の年(1946年製作の映画)

4.0

第二次世界大戦が終わり故郷に帰ってきた帰還兵3人のドラマを丁寧に描いた名作。

ベトナム戦争の遥か前の大戦終戦直後にPTSDを真っ向から描いているというのがちょっと驚きだ。

冒頭から不用になった戦闘
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

モノクロでもスタイリッシュなローアングルや美しい遠景、皺がハッキリ見えるクロースアップなどなど、画面の綺麗さがとても印象的だった。
しかし…

物語は現在進行形の社会問題である分断がテーマで、監督の子
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ナイト&デイ(2010年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

突っ込みどころ満載の荒唐無稽スパイアクションと侮るなかれ。

全編に渡り、昏睡あるいは死の暗号が散りばめられている。
例えば冒頭、ゲーム画面に表示される文字はyou are dead。
つまり彼は最初
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.0

目眩をもよおすカメラワークと凝った照明が楽しい。
ミュージカルシーンは基本長く、退屈してしまうこともあったが、「アメリカ」のシーンはテンションとダンスのキレが素晴らしく目が覚めた。
アニータ役のアリア
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ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん(2015年製作の映画)

4.5

作画の美しさと、特に船のディテールの豊かさには船酔い気分になるほど。
主人公の追い込み方も厳しい。
でも子供にはまだ早過ぎたようだった。

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.2

単純に面白く3時間退屈なところが全くない。
比喩的、多層的、重奏的で映像的にも素晴らしく全ての要素が絡まり複雑で濃密な時間だった。
アカデミー賞をとるのも納得の出来栄え。
ただ、心情を吐露する時に説明
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.2

流石スコセッシ、安定の面白マフィア映画で3時間半もなんのその。
デニーロ殺す殺す。
しかし設定年齢との乖離が大きく、デニーロが年寄り過ぎてずーっと違和感がついて回る。

そんなにガッついて金儲けしなく
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.0

面白い!
鈴木亮平の悪魔的悪役像は一見の価値あり。
あのとんがった耳がイイ。

最近の映画は、肥えた目の観客の虚をつくためにミスリードを使わざるおえなくなっているのだろうか?
最後の対決は尺を長くした
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