Yukenzさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

わたしは金正男を殺してない(2020年製作の映画)

3.8

このニュースを見た時は、一国の要人が公共の場で皆の面前で殺害されたなんて誤報ではないのかという思いと、事実と知って独裁者・金正恩の強行ぶりに対して背中が震えあがるような狂気を感じた。
誰が見ても北朝鮮
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

3.8

本作は韓国で光州事件が起こる前の1979年、当時の軍事政権として権力を掌握していた朴正煕大統領が殺害された事件をもとにしている。

韓国における民主化の歴史を知るうえで重要な出来事。作中では絶対的権力
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1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.1

韓国民主化に関する映画を集中的に見ようということで、次は事実に基づくこちらの作品を選択。
登場人物が多くバンバン話が進むので関係性を掴むのがやや難しい。予めネット検索して相関図を見ておくといいかもしれ
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.8

韓国の民主化に関する映画をネット検索したところ、本作が取り上げられていたので鑑賞してみた。

1999年を現在として、時が逆回りしていく。「メメント」と同じ手法だが、初見で状況を正しく把握するのはやや
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光州5・18(2007年製作の映画)

3.7

昨日見た「弁護人」に触発され、同時期に韓国で起きた民主化要求と軍事政権との衝突に関する作品をチョイス。

時は1980年。光州は韓国の南西に位置し、同緯度の半島東海岸には「弁護人」の舞台となった釜山が
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弁護人(2013年製作の映画)

4.0

国家権力に個人が潰される恐ろしさと絶望感がひしひしと伝わってくる。

先日観た「殺人の追憶」もそうだが、権力を笠に着て罪のない人を無理やり犯罪者に仕立て上げることが国を守る事だとして当たり前に横行して
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ペトラは静かに対峙する(2018年製作の映画)

3.6

マウントを奪うべく傲慢な振る舞い、生産性のない欺瞞、保身のための沈黙…人間のエゴが醜い。

心ない行動から生じた負のスパイラル。それぞれの点が繋がって線になる。これほど連鎖するものか。

漸く最後に一
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珈琲時光(2003年製作の映画)

3.2

ある女性の日常を追いかけるが、起伏のないストーリーで、見ていて長いなぁというのが素直な感想。

設定や出演者の心情などが分かる直接的な会話やアクションが少なく、きっと映像の中に言わんとしていることが色
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RRR(2022年製作の映画)

4.1

物語の壮大なスケール感と、カリスマ性がハンパない2人のヒーローの絡みがローラコースターのように起伏があり終始胸が躍る。3時間の大作だが、気付いたらもう終わり?というほど引き込まれていた。インド映画界の>>続きを読む

魅せられて(1996年製作の映画)

3.5

若かりし日のリブ・タイラーの魅力が満載。

本作は瑞々しく可憐な19歳のアメリカ人の少女が、イタリア・トスカーナ地方で過ごしたひと夏のの経験を通じ、一人の大人の女性に成長していく様子を描く。

序盤か
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殺人の追憶(2003年製作の映画)

3.9

韓国で実際にあった連続殺人事件をモチーフにしているらしい。

1986年当時の警察の捜査が証拠を捏造したり、暴力や拷問により自白を強要したりといい加減で、捜査に必死だというのは分かるが、権力を笠に着て
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ザ・ファブル 殺さない殺し屋(2021年製作の映画)

3.7

最近、色んなところでNetflixのドラマ「サンクチュアリ -聖域-」が面白いとの評判を耳にする為、気になって見出したところなのだが、監督がファブルシリーズの江口カン氏ということで、ファブルの二作目が>>続きを読む

渇水(2023年製作の映画)

3.5

角川試写室にて。
作品は何とも重たい…エンタメ的要素はほぼ無く、見ていてしんどい😓ので、それなりの覚悟を持って見ていただきたい。

現代社会の格差やネグレクト、仕事の意義、家族との繋がりなど考えさせら
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痛み(2011年製作の映画)

3.3

痛みを感じない男が立ち回るバイオレンス・アクションものかと思って見たのだが、序盤からバックミュージックが甘ったるく恋愛ものだと分かるったので勘違いしていたことに気付く。

ちょっと拍子抜けだったが設定
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アルピニスト(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭いきなり垂直の山肌にへばりつく独りのクライマーが映し出され度肝を抜かれる。画面がアップとなり、命綱も付けずロープすら使っていないことが分かる。「何やってんだよ、この人は…」思わず私の口から発せられ>>続きを読む

SKIN 短編(2018年製作の映画)

3.7

SKIN/スキンを見た後、短編(本作)とセットで見るべきとのコメントを見つけ続けて鑑賞。

白人至上主義集団による黒人への暴力と、それに対抗する集団による報復という負の連鎖を20分にギュッと纏めている
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SKIN/スキン(2019年製作の映画)

3.6

実話に基づいたはなし。
幼い頃に母親に先立たれ、飲んだくれで暴力を振るう父親の元を離れたブライオンを保護してくれたのは、白人至上主義者グループを主宰する男女だったという。
幼い身には他に頼るところもな
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Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

3.7

北野作品の中でもfilmarksの評価が特に高いので以前から気になっていた。
ジャケット写真の印象から、未来に羽ばたこうとする若者たちの青春讃歌ものかと勝手に思っていたが、やはり北野武はやそんな淡くて
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ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)

3.5

ジャッキー・チェンのここまでシリアスな作品は見たことがなかったように思う。

ストーリー的には、そんなに都合よく上手くいくのか?そんなんで要人のセキュリティは大丈夫なのか?といった突っ込みどころが多い
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キャッシュトラック(2021年製作の映画)

3.8

ガイ・リッチー監督作品としてかなり期待しての鑑賞だったが、その期待を裏切らなかった。

まずもってジェイソン・ステイサムがハマり役。アメリカの現金輸送専門の警備会社に転職した口数の少ない謎のイギリス人
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ALONE アローン(2016年製作の映画)

3.4

砂漠で地雷を踏みつけた男の孤独な戦い。

ほぼアーミー・ハマーの一人舞台だが、脇役のベルベル人がいい具合に緩くて緊張をほぐしながらも、なかなか芯食ったことも発するミステリアスな存在。

アーミー・ハマ
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I AM THE BLUES アイ・アム・ザ・ブルース(2015年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ深南部にどっしりと根差したブルースの魂。
高齢の男女たちががピアノやギターを演奏しながらプルースの旋律に乗せ、かつて手掛けた曲のほか、刹那の思いや溢れ出す感情を即興セッションでストレートに吐き
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エル ELLE(2016年製作の映画)

3.4

この作品をジャンル分けしたら何が適当なのだろう。サスペンスにしては事件の犯人が意外と早く判明してその後も話が続くし、ドラマにしてはサスペンス色が濃くてヒューマニティーが弱いし、ホラーというほど殺人鬼の>>続きを読む

ゴールデンスランバー(2017年製作の映画)

3.3

原作も日本版の映画も未読未見なので、韓国版を見ただけの感想として。

国家が関わる陰謀の割にはストーリー展開が単純で読めちゃうし、画面の切り替えが多い割にはアップ中心のカメラワークで淡々としていて深み
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父と暮せば(2004年製作の映画)

3.7

宮沢りえと原田芳雄のほぼ二人劇で、広島弁による台詞の掛け合いが見もの。井上ひさしの原作だそうで、舞台でも多数演じられているようだ。

父娘のいい関係が全面に出ていて和む。娘に面と向かって「お前の恋の応
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おじいちゃん、死んじゃったって。(2017年製作の映画)

3.6

この作品、filmarksのジャンルではドラマとあるけど、コメディと捉えていいですよね?

人間のエゴというか、傲慢でいい加減で無責任なイヤらしい面が満載で、相手を気遣う雰囲気もなく言いたい放題。ここ
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ザ・コール [緊急通報指令室](2013年製作の映画)

3.6

アメリカ ロサンゼルスの緊急通報を捌くオペレーターとは何と過酷な職場か。

直接人の死につながる緊急事態において、プロフェッショナルとして完璧な対応を求めれる緊張感が半端ない。
ハルベリーの毅然とした
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超高速!参勤交代 リターンズ(2016年製作の映画)

3.5

前作の続編として、分かりやすい設定で更なる事態に対処する湯長谷(ゆながや)藩の面々が愉快で頼もしい。

湯長谷藩の人情が心に染みる。民を解せず自らの権力に囚われた悪党を成敗する勧善懲悪もので、初めから
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.8

前情報なく鑑賞。アリス・ウー監督自身の脚本で、アメリカの田舎町に暮らす3人の高校生の成長譚を描く。自分の現在の環境もあり将来に悩みながら、家族とは、愛とは、人生とは…と葛藤する心情描写がとても丁寧に綴>>続きを読む

ウンギョ 青い蜜(2012年製作の映画)

3.6

老いていく自分と、若さへの羨望のジレンマ。パパ活ならぬ、理想のジィジ活を描いたか。

男は幾つになっても女性に対して興味を持つし、若い女性に気にかけられようものなら、それだけで嬉しくなってしまうものだ
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ラブ・アット・サンセットテラス(2020年製作の映画)

2.9

なんだろう、この余韻のない予定調和な進行は。残念ながら見ていて心が弾まなかった。

ヒロインに魅力を感じないし、テラスの主人のマイケルはハンサムでいつも笑顔で明るいナイスガイなのだが、内面の奥深さを持
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15年後のラブソング(2018年製作の映画)

3.7

初々しい恋愛ものよりも、こういった大人向けの作品の方が今の自分の嗜好にマッチしていて、心が躍る。

ローズ・バーンもイーサン・ホークも歳を重ねた大人の魅力が溢れていて、主演を張るのには申し分ない。
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フェアウェル(2019年製作の映画)

3.5

エンドクレジット最後のメッセージに思わず膝から崩れ落ちてしまった(笑)
作品のジャンルがコメディとなっているのはこのため⁉︎

中国人の家族の繋がりはめちゃくちゃ強いとよく耳にするが、本作のリアル具合
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コロンバス(2017年製作の映画)

3.4

人間の繊細な内面を描いた静かな作品で、奥ゆかしく味わい深い点もあるが、動きが少なく、暗喩的だったり象徴的なシーンも結構あって分かりにくいのと、建築物に然程興味のない自分にとってはそこまで楽しめなかった>>続きを読む

お嬢さん(2016年製作の映画)

3.3

まずどうしても、日本語のセリフを使わせたいなら、ちゃんと喋れる人を使おうよ、との思いが拭えず、終始話に入り込めず醒めてしまったので、評価はシビアな結果に。自分としては全編韓国語のセリフで日本語字幕付き>>続きを読む

オフィーリア 奪われた王国(2018年製作の映画)

3.4

「ハムレット」は遥か昔、学生時代に原作を読んで映画も見たと記憶しているが、細かな内容までは覚えていない。本作はオフィーリアの視点で独自解釈の色が濃く、114分とコンパクトにまとめられオリジナルよりは悲>>続きを読む