アルジェントの殺しの美学が冴え渡る。窓をぶち破った後、斧を2度振り下ろすミニマルな動作に対してあの過剰な血飛沫の量。壁を赤に染める一筆が美しい。建築物を舐め回す興味深いクレーンショットがあった。屋根を>>続きを読む
正直退屈だった。ミア・ゴスの女優としての稀有な才能を表出する以上の意味を成さない長回し、サークへの目配せに興醒め。A24が絡んでるせいなのか、底が見えてきただけなのか。
昨今ハリウッド映画の上映時間が肥大化する中、3作目にして余計なアクションを排し、100分台に収めるこの潔さは貴重だし、何より『マイ・ボディガード』と地続きかのようで、ダコタとの切り返しだけで込み上げる>>続きを読む
扉を開けまくって、内側の空間へグイグイ潜っていく。この屋敷内での位置関係の訳分からなさが最高に楽しい。だからこそ番犬と”音“のギミックが必要不可欠。ラバースーツ装着してショットガンをぶっ放すオヤジの狂>>続きを読む
容易に脱獄を繰り返したりして面白いのだけど、マイケル・マン的硬質なプロフェッショナリズムとジョニー・デップがイマイチ合致してない印象。対してスティーヴン・ラングが素晴らしく、『刑事グラハム』で下衆な新>>続きを読む
スコープ越しの窃視や高低差の強調を交え、薬莢回収まで見せきるオープニングに興奮。深い夜の闇に浮かび上がる暴力とネオン、そして十字架。この陰惨さに寄与するアンドリュー・ロビンソンの顔芸は大いに称賛すべき>>続きを読む
個人的にはリメイクである『緋色の街』の圧倒的な救いの無さを支持するけど、それを内包させつつ微笑ましく仕上げた本作のエピローグも凄い好き。比較すると前半はかなり速い。直接的な瞬間を映し出さずに、ジャニー>>続きを読む
理解不能なものが次々映し出され、加速していくこの感覚はフーパーに匹敵する。半分悪ふざけみたいな脈絡の無い事象で思わず笑顔に。
ゴージャスな照明が最高。常軌を逸しているという言葉がこれ程相応しい映画もそう無い。あの回転部が露出したプレス機の巨大性、「これ人が死ぬやつだ」と一目で分かる。殺人が事故映像に近い感覚でかなり凄惨且つ不>>続きを読む
超絶傑作。「火」を点けることで暴力が発動し、デニス・オキーフの過去は運命の暗示となる。光を捉える感覚が抜群に良い。森に差し込む木漏れ日や、瞳の反射光など、黒が支配した画面に際立つ。マーシャ・ハントにあ>>続きを読む
電話ボックスという四方がガラスに覆われた装置によって、人間との立場を逆転させる。ダイナーではラングのような冷たい視線も。象徴的に扱われていた「不安」を手を握るショットで制する簡潔さが素晴らしい。
マジックミラーに代表されるように徹頭徹尾「見る」ことで映画が推進していき、イーストウッドは娘の守護霊の如く画面に現れる。断片的な情報しか提示しないまま侵入へと移行する冒頭30分は神がかり的な面白さ。執>>続きを読む
涙目で切り付けてくるの怖すぎ。敢えてジャンル映画から逸脱していくようなシーンの挿入が、異様な緩急を生んでいる。
写真の現像液を思わせる水のモチーフが随所に施され、恐怖が実体化していく。湿度の高い画面が素晴らしいのだが、起源に迫っていくにつれ興を削がれてしまった。心霊写真を題材にする上でセーフライトやポラロイドを>>続きを読む
予兆としての黒カビや、遮蔽物、カメラ映像越しの怪異など丁寧に演出を積み重ねて『回路』等のJホラーに接近しつつ、空間そのものが変質するような力技も有り。全体的に撮影が良い。堅実だけど、ちょっと劇伴を信頼>>続きを読む
不良少年のエスターばりの非行に笑う。10分近くも回想に使ってしまう酷い停滞具合。ラストの対決もあまりに貧弱な物理的アイデア。同じシリーズでもアルジェントの方と特殊メイクの気合いの入れようがまるで違うな>>続きを読む
本当に奇妙な傑作。あれだけ白昼堂々銃撃を繰り広げておきながら、次のカットで何事も無かったように捜査は継続され、ロマンスは唐突に始まる。座礁船での陰影に富んだ撮影に瞠目。冒頭から光に照らされ続けるイース>>続きを読む
巧い脚本だとは思えないけど、あんなオーバーラップの後に小粋な切り返しを堂々とやってのけるのだから堪らない。牢屋での対面で印象的だった格子から流入する煙草の煙が、このシーンではイーストウッドの画面にのみ>>続きを読む
冒頭から巧すぎる面白すぎる。刑事を捉えた俯瞰からカメラがパンすると、それを見下ろすジョセフ・コットン。このシームレスな繋ぎにまず興奮。「見下ろす」ショットが頻出するが、白眉はやはり階段のシーン。視線の>>続きを読む
階段のワンカットは不規則な明滅による溜めと画面の黒さが絶妙。総じて良かったのは第9話。窓付きドア、点灯、着信音とあの僅かな尺に室内でやれる演出が上手い事纏まっている。遡る構成は何のツイストも無くイマイ>>続きを読む
『こんにちは、マリア』が最高。意外にも端的なメタファーに溢れていて驚いた。中でも分娩を思わせる除雪車が無機的で異質な感触。ゴダールの撮る女優は皆美しいけど、ミリアム・ルーセルの被写体としての強度は圧倒>>続きを読む
Vシネ時代を想起させるこの陰惨な空気感は紛れもなく高橋洋との脚本で、本編より遥かに楽しんだ。冒頭から空間を分断するカーテンが揺れまくる高揚。フレームに収まりきらないその佇まいから『地獄の警備員』におけ>>続きを読む
木々を揺らす為の野外採寸。白昼夢のような的当てゲーム。暗闇から現れる亡霊のような哀川翔は目的を失ったまま車を走らせる。
あの着地点へ向けて説明的な台詞が多くなってしまうのは致し方ないのだろうけど、憂鬱になる。垣松祐里のフロントガラスを突き破るアクションの一手間は最高。やはり銃は発砲する為に手にしなければならない。
再見。シーン単位の怖さなら新作の方に軍配だが、何といっても終盤の多視点を交錯させる力技。そこで過去が8mmフィルムを介して語られる不気味さが素晴らしい。復讐までもが映画内映画を「見る」ことによって果た>>続きを読む
このレベルで『呪怨』への回帰を見せつけられたら流石に楽しむ。中盤のとあるループが崩れる瞬間の違和が、人物の動きと禍々しい音によって一瞬で恐怖に飛躍する。それが後に予期しない場所で半透明のカーテン越しに>>続きを読む
初期フライシャーの経済的な語りは絶品。少ないカットで必要な情報を提示してみせる手際に加え、中盤の銃殺に代表されるようなウィリアム・タルマンの冷徹な判断力がこの凄まじい速度に寄与している。現金輸送車襲撃>>続きを読む
鉄扉や地下室など明確に『悪魔のいけにえ』であり、後年のフーパー作品との共鳴も。警備員が故のビル自体の私物化により、境界が崩れゆく。室内にも関わらず不穏を煽る為に、起因を示さずして草木を小刻みに揺らす感>>続きを読む
鋭利な演出は影を潜め、自伝を美化しないその実直さが沁みる。祖父との面会を車内から見届けるアン・ハサウェイのショットが良い。空虚なインサートと列車音が響き渡るラストの余韻。
とにかく走り回る映画。停車するパトカーを起点に人々が広場に集い出す俯瞰ショットの気味悪さときたら。「別人」であることを提示する切り返しの説得力!