マクガフィンさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

3.3

タイムスリップなど突っ込みどころはあるが、戦争や特攻をヒロインを通して擬似体験できることが良く、時代を超越する手紙が効果的で作品が締ることに。未来を知るヒロインが特攻の無意味さをぶつけるが、未来は見え>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.3

失踪や名前違いの謎からドンドン問題が膨らんで行くミステリー形式が良く、社会の歪みから派生した蟻地獄にハマったような無国籍者の想像を絶する過去と前途多難な未来が何とも言えない。
日本社会の暗部をメタファ
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.4

色彩豊かで水墨画のような綺麗な筆致が良く、天真爛漫で好奇心旺盛なヒロインのメタファーでもあり、戦争が近づき、暗い影を落とす前触れにも。クレヨンやピアノから広がる妄想や死の前触れや前兆に感心も。原作未読>>続きを読む

青春ディスカバリーフィルム いつだって青春編(2015年製作の映画)

3.2

■張り込みメシ(城定秀夫監督) 3.2
年下刑事の食事の話やアレンジしたメシに触発されることが可笑しく、張り込みによる疲労や緊張に対する食事の緩和が良い塩梅に。眉毛がピクピクするリアクションが良く、食
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隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)

3.3

惑星難民Xが舞台装置な設定が好みで、得体の知れないものに対しての畏怖や侵略を恐れた人間が逆に、パーソナルスペースを犯し、人権を侵略することが興味深い。原作未読。

「悪魔の証明」の存在しないことを証明
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MY (K)NIGHT マイ・ナイト(2023年製作の映画)

2.6

企画やプロットのセンスが欠け、寄りの画・カット割り・スクロールが多いことに辟易で、救う者が救われることをセリフで纏める。
中川龍太郎監督の純文学的なテイストが好きだったが、LDHを逆に利用できないと、
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.7

ナポレオンの革命家として冷静沈着に大きな武功を立てることとは裏腹に、妻ジョゼフィーヌへの愛や嫉妬などの様々な感情を抱く妙な関係性と数奇な運命を描く。ジョゼフィーヌのナポレオンへの献身的な努力が描かれて>>続きを読む

怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.4

無許可で脳チップを埋め込まれて人格操作された被害者の子供達がサイコパスに仕立てられて加害者になる設定が興味深い。サイコパスの誕生や絵本が『MONSTER(浦沢直樹)』に似ているが。原作未読。

サイコ
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私たちの、(2022年製作の映画)

2.9

踏み出すことと停滞すること。居場所を描きつつ、変わる関係性と変わらない法律が何とも言えない。

二十歳に還りたい。(2023年製作の映画)

2.5

唐突なパラレルワールド、天の声の背景がウルトラマンのオーロラぐにゃぐにゃ映像に似ていて失笑。
ノスタルジアな過去と夕日と歌謡曲を掛け合わせるが、最後に期待していた千眼美子(清水富美加)が登場しなくて残
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ガールズ&パンツァー 最終章 第4話(2023年製作の映画)

3.3

前作は忘れたし、シリーズならではの纏まりの悪さも同じだが、何となく理解できるキャラ達の配置や、戦術を駆使し見せ方が巧い戦車バトルアクションに感心する。前作から2年経過しており、もう少し短いスパンで上映>>続きを読む

花腐し(2023年製作の映画)

2.9

女とピンク映画を掛け合わせ、ノスタルジックな喪失からの悔恨と、ほんの僅かな未来への光明か。原作未読。

悔恨をモチーフにするが、男二人の視点ではピースが足りないのは当然で、男達を反対にしたら的なことも
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人生は、美しい(2022年製作の映画)

3.1

ミュージカル仕立てに驚くが、暗くならない抑揚には効果的。
ヒロインは魅力的だし、ロードムービー形式での前向きさが良かったが、寄り添う夫の言動が古風過ぎて、シンパシーを抱くまではいかないことが惜しい。
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ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

3.7

信念を貫いた先にある、凝り固まった常識や歴史認識を覆すヒロインが魅力的に。軽妙な語り口や皮肉とユーモラスの塩梅が巧みで、癖もあるが純粋なヒロインと大学の醜態の対比も効果的に。副題は「リチャード3世を探>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

2.7

クラシカルな演出で演技やBGMが諄く、演劇のような大仰さで映画への尊重が欠ける。格差社会や男女差別をモチーフにして現代への社会風刺もあっさりに。

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

2.7

自己顕示欲の成れの果てとマイノリティ支援商法が生まれる社会の皮肉をごちゃ混ぜにして描くことは興味深いのだが。双方に共感できないし、苦手な描写があるからか、刺さらなかった。現実と空想も綺麗に描かれていな>>続きを読む

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

2.7

B級映画で振り切った演出なのにテンポが悪く、前作から地名を変えたぐらいの焼き直しに。CGで誤魔化すことも多く、スケールも矮小化し、目新しい演出が無かったことが残念。

(2023年製作の映画)

3.5

緊張と緩和をベースにして、敵討ち・切腹・首取り・茶会などの武士のしきたりや作法や儀式をひたすら描く。信長は恐怖・やりがい・契りを、秀吉は金を与える人心掌握の対比に考えさせられる。百姓出身の秀吉が武士の>>続きを読む

スラムドッグス(2023年製作の映画)

2.6

主人公の犬の毛がボサボサなことが可哀想で、コメディの世界観に入れない。ゲスやグロな描写が多いことも好みに反する。

OUT(2023年製作の映画)

3.4

シンプルなストーリーでテンポが良く、キャラが多いが性格や喧嘩スタイルが異なるキャラ立ちも良い。軽妙な会話でコミカルを挟み、キレのある乱闘シーンに唸らせる。当て馬と道連れにする敵側の策略が冷酷さを増し、>>続きを読む

コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)

3.3

時代に取り残された底辺層だからか、そこそこのエピソードが続くこととは裏腹に、取り留めない日常のような緩やかなテイストに感じることに。
金は無いが人情豊かなことで、訳あり人生をささやかに肯定するような。
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.1

犬神村のようなテイストで〈一族の跡目相続〉→〈集落全体の因習〉→〈戦争から地続きな人間の業と欲〉に膨らませる、プロットやスケールの広げ方に唸らされる。人間視点が効果的で、人や戦争への愚かさが胸に迫り、>>続きを読む

火の鳥 エデンの花(2023年製作の映画)

3.3

映画化にあたり、人間の業を残酷なまでに描いた原作の禁欲的な近親相姦やカニバリズムを排除したことで、モチーフの鋭さは原作より劣ることに。
それでも長い年月と銀河系も越えた壮大な物語で、〈生命〉や〈人間の
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デシベル(2022年製作の映画)

3.2

緊張感を保ち、停滞せずに駆け抜けたことに感心するが、背景を掘り起こすと犯人の目星はとうに分かるし、タイトルの意味も生かし切れていないことも。生存者を配分する根拠の指数も提示して欲しかった。

TOKYO, I LOVE YOU(2023年製作の映画)

1.7

短編だからとて、カット割りの多さと寄りの多い構図は如何なものか。キャラの大仰さ・台詞回しの下手さ・古臭く予定調和のプロットに飽きれる。

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

3.3

視聴者と同じ立場でウイスキーの製造を説明する役割も含まれていることは理解できるが、序盤からキャリアの浅い男記者の仕事のモチベーションの低さやネガティブな言動に共感が湧かない。

喪失の大きさと心情の変
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法廷遊戯(2023年製作の映画)

3.7

メインキャストの2人が恋愛を超越した絆で結ばれている設定が効果的で、裁判を通じて冤罪や贖罪、復讐の意義が露になっていくことに興味が尽きない。
司法制度や検察の過去の判決の間違いを絶対に認めないことによ
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舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド(2023年製作の映画)

3.3

原作をリスペクトしつつ、ディティールを変えつつ、今作は大人が主役に。
ファーストインパクトを人間のエゴによる環境問題とし、使徒を宮崎駿的な世界観にすることは興味深い。コンテンポラリーダンスもモチーフで
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正欲(2023年製作の映画)

3.7

マイノリティや多様性をモチーフとし、性的指向が無生物かつ無機物なことが考えさせられが、堂々巡りして思考が止まるようなことが、ある種の本質を突くことにハッとさせられる。

丁寧にプロットを積み上げて、様
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

3.8

心と体の喪失をモチーフにしているのでシリアスな展開になると思いきや、明るいテイストでコミカルを挟むことに感心。ジャンルの違うダンスや人に触れてヒロインの視野が広がることが効果的に。

バレエと映画の相
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マーベルズ(2023年製作の映画)

3.2

コミカルを挟んで明るいトーンで描くことが良く、ボリウッドダンスを取り入れたことに驚く。

スパイダーマンのような「大いなる力には大いなる代償」や破壊や家族・チームの重要性をモチーフにするが、深く掘り下
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理想郷(2022年製作の映画)

3.2

澄んだ空気の豊かな自然の中でドロドロと対立する不穏な空気。次第に嫌悪感が充満するダークな空気感に。

風力発電の補助金に縋るしかないと思っている地方民の閉鎖性。シンプルなヨソ者への排他主義とは違く、相
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人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした(2023年製作の映画)

3.3

タイトル通りの自暴自棄な元アイドルがシュアハウスでおっさんと住んで、おっさんや友達との日々を綴った物語。

情念を全てナレーションやセリフに起こすことに疑問もあるが、情念は肉体によって精神に与えられる
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.4

舞台装置としたゴジラを戦争や特攻以上のトラウマとして描いていると思ったら、少し違った。

ゴジラの放射熱線を吐く前兆も抜かりなく、様々な前触れを丁寧に描くことは良いが、前触れが分かりやすく、終盤の結果
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さよなら ほやマン(2023年製作の映画)

3.4

B級映画かと思いきや、居場所・移住・その場所をモチーフとし、トラウマを抱えた者達の予想外に重厚な人間ドラマに。主要キャラ3人の突き抜けた感じが良く、抑揚あるテイストに好感。ホヤを食べたことがないが、含>>続きを読む

かぞく(2023年製作の映画)

1.8

重い作風なのに、肝心な負性を描かかれていない。含蓄されたエピソードや掘り起こしも無く、カタルシスも弱いのに解放されたように描いても全く感情が揺さぶられない。自動と能動の対比も弱いし、オムニバス形式とし>>続きを読む