しゅん

ウーマン・トーキング 私たちの選択のしゅんのレビュー・感想・評価

4.2
【赦すか、戦うか、去るか】

フランシス・マクドーマンドがプロデュースした実話を基にした作品。

自給自足で生活するキリスト教一派のとある村で起きたレイプ事件。
女性が下半身血塗れのベッドで寝ているシーンから始まるオープニングはなんとも言い難い。
村に住む男達からは〝悪魔の所業〟と言われていたが、実行犯を捕まえたことで事態は急展開。
男たちが街へ出掛けている2日間の間に女性達は今後のことを話し合う。

それは、
男たちを赦すか、
男たちと戦うか、
男たちから去るか、
の三択だった。

タイトル通り、女性たちがずっと話し合うシーンが続く。
ただそれが非常に辛くも面白い。

人の数だけ考えがあり、育ってきた環境や現在の境遇も違う中で、合意形成することの難しさを痛感する。

溢れ出る様々な感情を会話の中で見事に演じる女優たち。ただの会話だけど一気に物語に惹き込まれる。
その中で黒一点の存在、ベン・ウィショーが良い存在感を出している。

今作で1番驚いたのは、物語中盤に1台のトラックが村に来るシーン。
アナウンスでなんと2010年国勢調査と言っており、とても最近の出来事だったことを知る。服装や雰囲気からてっきり100年前くらいの時代背景だと思っていたからこの衝撃は大きかったし、10年前でまだこんな男女差別があるという事実に驚き。

深き信仰心から赦すことが天国への道と信じ一緒に行かない者もいたが、愛する人を守るため、去ることは逃げじゃなくいつか赦しに繋がると信じて行動する女性たちの芯の強さを感じた。

挿入歌はよく耳にするあの曲。
この曲は決して、いいき・ぶ・ん、ではない。
しゅん

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