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ウーマン・トーキング 私たちの選択のkunicoのレビュー・感想・評価

3.3
想像以上の「ウーマン」の「トーキング」だった、もはやそれでしかない。
パワフルに男性たちに立ち向かう派手なシーンを期待して初週に観に行ったけれど、色んな意味で裏切られた。
立ち向かうことさえ許されなかった女性たちの静かなる抵抗だからである。
これが過去のことではなくごく最近のことという事実にも息を呑んだけれど、一番印象的だったのは頑なに男性の肩を持とうとした女性(サロメだったかな)が家に一時帰宅した旦那に殴られてアザのある顔で次の朝納屋に現れること。
今まで彼女の唱えていた全てが幻のように消え去り、自分と子供達の身を守るために行動を決意した「母」の表情が力強いというかなんだがもう切なかった。
宗教的な観念に縛られすぎだよね、死後のことなんかより生きてる今が辛いっつってんの。

どうしても悔しいことがあると過激なリベンジを求めがちな人間ですので、女たちが協力して村ごと焼き払うとか、一番偉い男を捕まえて晒し首にするとか、馬で引き摺り回すとか、すご〜く観たかった。タランティーノかよ。
そもそもさ、女はレイプ=悪魔の悪戯と捉えられる程無垢で性知識のない処女の集まりなのに、何で男どもは馬に使う薬で意識混濁させてヤっちまえ!みたいなゲスい思考を持てるんだろう、同じ家に住んで同じもん食って生きてるのに?
彼らの間に生まれた差は教育を受けているか受けていないか、だけなのかしら?
こういった蛮行を甘んじて受け入れてきた女たち、マクドーマンドのような年代と思考の女性が感じるべき罪の重さもあるよね。
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