えいがうるふ

ブラック・フォンのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

タイトルバックの映像がやたらかっこよくて期待値上がる。
そして70年代の空気感の演出(ファッション可愛い!)がなんともいい感じで、その点は観ていてずっと楽しかった。

舞台はたいして人口多くもなさそうなのにポンポン子どもが失踪するゴッサム・シティ並みに治安の悪い田舎町。そして70年代だからね、で片付けるにはあまりに警戒心なさすぎの呑気な住民たちと、ボンクラすぎる警察。
それでも序盤のストーリー展開は悪くない。登場人物のキャラクター描写や謎が多くてちょっとお茶目(ちょいちょいマスクを変えるのはツッコミ待ちなのか?お仕置きしたいクセに自分からは行かないとか、案外ドSかと思いきやドMなのかも笑)なグラバーの見せ方も面白かった。
ただし今ひとつテンポの悪い展開のため、序盤と後半の暴力描写のバランスの悪さなど、話が進むに連れてツッコミどころが目につくようになる。クライマックスのツメも弱く脱出劇の大甘展開に至ってはもはや全然怖くなく、テーマパークのホラー系アトラクションに乗ったまま安心安全に出口まで運ばれるような物足りなさ。結局尻すぼみな印象で終わる。

主演の仲良し兄妹がやたら可愛いのと、殺された子どもたちと力を合わせて・・という展開がいかにもジュブナイルぽくて微笑ましいが、まあ色々とガバガバすぎてスリラーとしては超甘口仕様。家族の絆の描き方もやさしいので、お子様向けホラー入門作としては丁度いい塩梅なのかも知れない。

その後こちらのレビューをいくつか読んで原作者ジョー・ヒルがキングの息子と知り苦笑い。デカすぎる父親の影を敢えて踏んで行くにあたり、デビュー時には素性を隠し実力で勝負しようとしたという彼の勇気と心意気は応援したいので、今後に期待。