ミシンそば

アウトサイダーのミシンそばのレビュー・感想・評価

アウトサイダー(1981年製作の映画)
3.5
久しぶりのタル・ベーラ。
白黒じゃないってだけで違和感が凄い。
最初結構それに慣れるまで(主人公を筆頭にあらゆるキャラの能書きが鬱陶しいことも含めて)眠たかった。

社会不適合者級の芸術肌って、映画等のフィクションならば理解者の存在を主軸に成り立っていることが多いが、タル・ベーラは、そんなアンドラーシュと言う社会不適合者にそれを用意していない。

無責任で無反省、こらえ性もなく手前勝手極まるこの男は、昨今のZ世代の若造の人間関係リセットみたいなことを平気でやるし、正直おんなじ空間にいたいとさえ思えない。
「なんとかなれーッ」でなんとかなるかもしれないのはちいかわの世界だけなんよ。

なんともならないし、結婚相手も理解者にはなり得ない(ポップミュージックが大音量で流れる中でのガチギレ妻対テキトー主人公の構図は正直ちょっとクスっとなった)。
最終的にこのつまらない社会不適合者が辿るあまりにも当然な結末は、これぞ「タル・ベーラ」って冷たさだけど、個人としてはそこ以外にはタル・ベーラ味を感じなかったなって言うのが本音。
主人公悪目立ちするタイプの有害野郎だったことが映画全体の足を引っ張ったイメージである。

「才能はある」って公式説明でも明言されているだけに惜しくはあるよね(個人として惜しむつもりはないけど)。