「こんな所でくたばるわけにはいかない。妻と約束したんですよ、必ず帰る、って」
戦後、シベリアのラーゲリ(収容所)での強制労働を命じられた男たちの群像劇。
とても良かった。こんなことが戦後に実際に起こっていたなんて。自分も祖父がシベリアに抑留されていたので、思いを馳せながら観た。
序盤はリアリティが気になるところがややあって、強制労働してる割にめっちゃ血色が良かったり、マイナス20℃でクソ寒いはずなのに口当てしてなかったり。仲間の死体捨てるシーンはキツくて良かったけど、凄惨な描写は期待値を下回ったのでもう一歩踏み込んで欲しかったところ。見た目に関しても、たぶん俳優さんみんな−10kgくらいの体重が妥当。
ただ後半はダバダバ泣いた。手紙のくだり強すぎ。二宮和也と北川景子の演技も素晴らしいけど、脇を固めてる安田顕、松坂桃李、桐谷健太がとても良かった。
「希望を捨てるな」という明確で分かりやすいテーマから、さらに一歩踏み込んだところで物語を展開しているのが凄い。希望を失った時こそ、その人の人間性が出る。
全然関係ないけど、少し調べたら山本幡男が同窓の先輩だったことにビックリ。後輩として誇りに思います。
以下、セリフメモ。(※ネタバレあり)
「一等兵じゃない。山本です。名前があります」
「貴様、共産主義者だろう?」
「これはね、戦後の混乱の中で起こった不幸な出来事に過ぎません」
「文字を書き残すことはスパイ行為に当たるそうです」
「ダモイ(帰国)はもうすぐです!」
「ハルビン特務機関での諜報活動により、強制労働25年を命じる」
「それは間違いだ!あれはただの満鉄の出張だ…!」
「私に近づかないでください。あなたを売ったのは私です」
「原さんは慶應の4番だったんです!」
「希望が必要なんです。生きるためには」
「あともう一打席でいいので続けさせてください。ここでは野球こそが生きる希望なんです」
「ここを動きません。山本さんを大病院で見てもらうまでは。もう卑怯者でいるのはやめたんです」
「がんだそうです。咽頭がん。喉のがん」
「希望を捨てるなと言ったのはお前だろ!妻を失っても俺は生きたぞ!」
「山本くんの遺書を届けにきました」
「4人で遺書を暗記したのです」
≪妻よ、よくやった!実によくやった!≫