さすらいの雑魚

BLUE GIANTのさすらいの雑魚のレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.0
今を完全燃焼!真っ白な灰も残さねぇ。
そうゆう事だな、ダイ、ユキノリ、そしてタマダ❗
音の載ったBLUEGIANTをDOLBYで観て聞いて、そんな風に思ったよ。

明日の事は寝てから考えろ、昔の事は音に載せてライヴで吐き出せ。
すべてを今、この演奏にベットして、内蔵をひっくり返して曝け出し、叩きつけ、熱く激しく燃えあがり、人々を蒼く照らす流星になれっ。
なんて事は、劇中にはほとんど語られません。
だけど、青く輝く東京、実験的で工夫を凝らした(なんなら癖が強いって言おうか)陰影の処理、アニメーションならではの自由自在(あえて言おう実相寺な構図と!)なカメラワーク、ジャズマンが音と溶け合い妄我のなかで繰り出すインプロヴィゼーションが決まった時の衝撃と法悦をなんとか届けようとの物狂いすら感じた特殊効果の数々。
まったく手癖での処理を感じさせない、挑戦的でリスキーな手法で構築された作品からゆらめき立つオーラが、無言のうちに語りかけるのだ。
「これが俺たちの、今の限界、全力、目一杯なんだが、君等はこれ観てどう思った」と。

ともあれ、原作日本編読了勢なら狂喜乱舞必至のラスト・ショーでありますゆえ、なるべく良い音響で聴かれたら良かろうかと♪

追記。
故郷も友達も家族もオーディエンスも、みんな大好き、愛してる。
だけど、二度と無い人生を捧げて悔いぬのは、唯一至高のJAZZの神。
そんな映画でありました。
暖かく感動的で、美しい映画でしたが、あの正体不明の衝撃の正体とは、このあたりかと。
原作から、何を残し何を切ったのかを考えるとそのような結論になったなと。
優しくて、それなのに残酷な映画であったなと。そう思ったわけで。