さすらいの雑魚

無名のさすらいの雑魚のレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
4.0
この映画は、惚れ惚れするような映像美に酔い痴れましょう。
魔都の残香が漂う蜃気楼のような上海の佇まい。
リアリズムと不思議な浮遊感のある上海バンド?の画が、このオールドファッションな作品の目指す所を示していると、見終えた今更ながら感じる次第なのです。
これだけでチケット代はペイしてる。眼福の極み。

公開中の作品なのでネタバレは避けますが、個人的なツボをいくつか。

中華シネマで汪兆銘政権!?
中共も漢奸を主背景に大作映画撮らせるようになりましたか。21世紀だね。ともあれ創作の自由の拡大はけっこうな事です。
あとは船戸与一の流砂の塔あたりを現地現物オールロケで映画化させんかなぁ、できれば予算はあちら持ちで(無理)
エンタメに南京政府がガッツリ登場するとか歴ヲタなら観ちゃうよねぇ。
CC団やジェスフィールド76号、影佐貞顕とか鄭蘋茹と聞くとテンション爆上げな……令和の御代では軽く変人の部類に入っちゃう君!
君向けの映画だよ♪

そして森博之さんの名演がステキな日本軍のスパイマスターが石原派の将校って設定されてる!
魔都上海で暗躍する石原莞爾の薫陶をうけた情報将校って、日本のエンタメでもなかなか無いステキなキャラ設定♪
これ中国人の脚本だよね?
帝国陸軍の昭和軍閥の詳細なんて知っとるのかね。驚いた。

そしてトニー・レオンの圧倒的な色気。
こんなに格好良くスーツを着こなすアジア人俳優居ない。
渋い……じゃなく、エロい!そう、エロス!彼の横に10分いたら、男だけど妊娠しそう。
いや、マジで😅

重厚美麗な歴史ノワールご堪能あれ。