『若さの象徴ではない、赤を燃やし尽くす青き巨星』
世界一のジャズプレイヤーを目指す青年がバンド仲間とクラブの頂点を目指す立川譲監督作品は、弱者の視点がないと文句を言う人生だけは送りたくないと心の底から意地にさせられ、物書きを目指すならそれは机に向かうことになる音楽アニメーション映画の最高傑作。
息を吸うように努力をする才能の化け物たちの成功譚は凄いを通り越して終始恐ろしい程であり、神の気紛れとしかいいようがない例のシーンには僕でも心臓が縮んでしまった訳だが、刹那と永遠の間のあらゆる葛藤を昇華させる最後の演奏に涙を通り越して呆然とする。
各セクションが個人技を極めながら静止画の迫力までも顕現させる絵の芝居はそれこそジャズで、魂を揺さぶる音楽と共に全身から声の芝居をする俳優たちの表現力が炸裂しているが、描き切れないドラマを行間に含ませる演出と脚本に今すぐにでも原作を読みたくなる。
鑑賞記録
2023.02.17
チネチッタ川崎8LIVEZOUNDレーザー
→ヒーローが最大数のフォーマットで展開される中でのチッタの本気。パフォーマンスとしての演奏だけでなく箱としての音がそこにあり、どれだけ目を踊らされても今日の主役は耳になる。この作品が売れるかはひとつの分岐点にある。
2024.05.12
NETFLIX 日本語字幕
