ドント

シーフォーミーのドントのレビュー・感想・評価

シーフォーミー(2021年製作の映画)
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 2021年。盲目の若い女が人里離れた豪邸で、家主が不在の間ネコの世話をすることに。しかしそこに強盗が入り、彼女は盲人ヘルプアプリで繋がったFPSゲームプレイヤーと共に、彼らに立ち向かおうとするのだが……
 盲人×アプリの向こう側の人……ふたりの共同作業による、盲目サスペンスの新機軸や! と思うでしょう。こんなんなんぼでも旨い料理にできるわ! と思うでしょう。ところがどっこいそうはならねぇんだなぁ……。
 主人公が世をスネていて、さらにちぃとワルでもあるというあたりは別にいいんだけども、その他にもいろんな所にヒネり、ネジり、ツイストを入れすぎているし、そのせいでたとえば「かくれんぼ」「おいかけっこ」「見える/見えないのスリル」、そういう美味しい部分がゾリゾリと削られているわけである。
 で、代わりに足された要素は確かに新しくはあるけれども、そういう謂わば王道なサスペンス要素を越えるものではなく、フゥンなるほどそういう感じねぇ……フゥン……とばかり思ってしまう。「盲人がアプリの先の人と協力」という新しさだけで充分美味しいのであり、ここにさらに新たな素材や調味料をドシドシ入れちゃったので、全体にテイストがぼやけてしまった、という具合。
 そのぼやけ方は肝心のメインアイデア、「盲人がアプリの先の人と協力」にも及んでおり、さらに豪邸の空間を生かしたり頭を使ったりという面白みもなくて、バディの仲の深め合いだって上っ面だけで、な~んかこう、どうにかならんかったのかなぁ……と思いながら90分を終えたのだった。
 これがデビュー作の監督のようだけども、もうちょいこう、新人ゆえの気合、気負いというか、拳で殴るようなサスペンスというのをやってもらいたいと思った。いろいろやりすぎると、旨味が薄まるんですねぇ……
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