菩薩

南部の人の菩薩のレビュー・感想・評価

南部の人(1945年製作の映画)
3.9
不撓不屈のフロンティアスピリット(南部だけど)に戦後すら見据えた力強さ、悲劇続きの人生でありながらもその中の享楽的な側面を見据えるルノワールの視線と水の作家たる真髄を垣間見る。荷物を満載したトラックがなんともトトロ感あるなと思ったら着いた先のボロ屋までトトロっぽくて「ボロ〜!!!」とサツキ・メイばりにテンションが上がるし、初めて暖炉に「聖火」が灯る瞬間の多幸感ったらない。隣人がやな奴やな奴やな奴やな奴!やな奴!!!で本当にやな奴だが、川の主釣り化していくとこは面白いし、結局単なる見栄っ張りで笑ってしまう。アナーキー過ぎる酒場での乱闘シーンや結婚パーティーの賑わい、からの全てを水泡に帰す自然の猛威にこちとら絶望的な気になるが、偏屈婆ちゃんの超絶ポジティブ発言に救われるし全部持っていかれる。これこそ「死ぬこと以外かすり傷」なのでは?増水した川に流される牛と言い、栄養失調で変なデキモノできるとこと言いジブリ印ばかりで驚く。最後の暖炉も本当に良い…暖炉…。
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