ダミアン君に恋してる

オッペンハイマーのダミアン君に恋してるのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
\\祝☆本年度アカデミー賞 最多7部門受賞//

オッ”ピー"が1位を取ったみたいに、私もぉぉっ"ピー"の我慢コンテストで1位を取ったんだよ!抹茶ラテ飲みすぎてト〇レに行きたくて途中席を立とうと何度も思ったけど、3時間も頑張って耐え続けたんだ。すごいでしょう?褒めてほめて~♡

と、いう冗談はさておき…

深夜のIMAX劇場から戻りました。
大丈夫、私は生きています…(ll゚д゚ll)


この映画を一言で言うと…

”Fear(恐れ)&Madness(狂気)”

凄まじく驚異的な映像・音響体験。IMAXの爆音と轟音の絶大な効果。大音量に埋もれる快感、そして今まで体感したことのない部類の恐怖。

思いもよらないホラー描写が散りばめられていて、それがもう怖くて怖くて。椅子に座りながらも足がすくんでしまった。何というか、暗闇に一人取り残されブラックホールに吸い込まれ消えていくような…そんな言葉で言い表せない感覚があった。

耳をつんざく爆発音、地の底から這い出し、すべてを飲み込み破壊しようとする醜き地獄の叫び声。

私はそこに悪魔を見た。

これは日本とアメリカだけの問題ではなく、国という枠を越え、地球上に住まう人類すべてに与えられた課題。

科学が進歩してゆく過程で、その世紀の発明品を我々人間がどのように利用して扱ってゆくのか。殺人兵器として無駄にするのか、それとも、地球と人類の明るい未来のために役立てるのか。善悪という2つのカテゴリーの中だけでは判断しきれないという事は分かりきっている、しかし、その狭間で揺れながらも、打開策を見つけようと頭を悩ませる価値は大いにあると感じる。


気つけば私はこの一連のストーリーを地球の外側から眺めていた。

「地球人は一体何をしでかしてるんだろう。とんだ茶番じゃないか。自ら破滅の道を選ぶ人間の愚かさよ。」


興味深いことに、鑑賞中は登場人物の誰にも感情移入が出来なかった。物事を客観的に見る大切さと、同時にこれこそが一番重要なのだと気づかされる事態となった。渦中にいればいるほど判断が鈍るというもの。一度、冷静になって当たり前の事を思い出そうじゃないか。この時代の皆がみな、我を忘れて熱くなりすぎていた。

本作の最大的特徴ともいえる”会話劇”という戦法。まるで分厚い書物のページに刻まれた文字の上、何かに取り憑かれたように躍起になって文章に目を通しているような、追い込まれる精神描写。科学や政治の知識が乏しいために、彼らの話している内容の95%くらいは何を言っているのか分からなった。教材映画なのか、これは。いや…科学者の脳内を映像にしたらこうなった、と言ったほうが正しいのか。知的レベルの高さについていけない。私の知らない世界、知るよしもなかった世界がそこにはあった。

原爆を題材にしているというだけに過去に類を見ないほどの非常に強い破壊力のある作品。首を鉛で強く絞めつけられているかのような、この息苦しさからは誰一人として逃げることが許されない。成功と奈落のツイストが燃えたぎり、爆風と共に螺旋状になって襲ってくる。
オッペンハイマーの知性と情熱から創り出されたモノは、その先の完全に支配された世界へと一人歩きをはじめる。世界の在り方が変わってしまった瞬間。もう後戻りはきかず、争いと混沌の時代の荒波にのまれていった。

自分が生み出した我が子同然のものが、国のためとはいえ、大殺戮のために喜んで使われるというのはどういう想いだったのか。込み上がる罪の意識はいかほどだったのか。そんな原爆の脅威の実態を受けた彼が、自責の念にさらされ、罪悪感に溺れ、悪夢に見舞われているのが分かるシーンが恐ろしいほど鮮烈に脳裏に焼きついている。

日本人であるがゆえのトラウマ的出来事だったものが、この映画を通し、また違った側面から見つめ直せたように思う。誰が良い悪いかという問題ではなく、すべては時代の流れがそうさせた。被害者意識に押し潰されるのはもう疲れたよね、かといって何も無かったことには到底出来ない。日本に落ちずとも、必ずどこかの国には落ちたはずだから。

この時代はきっと誰しもが選択肢を誤った。いいや、そうでは無く自由な選択肢を与えてもらえなかったのかもしれない。歴史は変えられず、けれどももし、もう一度あの時に戻れたとして、原爆を“落とす方”と”落とされる方”のどちらかを選べたのだとしても、私はきっと”落とされる方”を望むだろう。これがきっと分かれ道、本作が描き、観客に委ねようとしている”核心”に迫るものなんじゃないかと私は真剣に受け取った。失敗から学ぶことは、人類が出来る唯一の罪滅ぼしだ。

皮肉にも自分が日本人であることを誇りに思える作品となった。

光と闇は同時に存在する。しかし宇宙には善と悪の区別は存在しない。宇宙で起きること全てがただの事象。ものの良し悪しは人間が決めているだけ。人間の感情がただ反応しているだけ。そして、それに振り回される宿命にある私達は哀れでありながら、理性をもつ事への代償を背負いつつ、楽園とするこの地上世界を創りあげるための果てしなく無限の可能性をも秘めている。


…さて、私は何のためにこの映画を観に行ったのか…そうだ、キリアン・マーフィーだ!そんな大事なことも忘れるくらいに脳内がぐるぐる占領されてしまっている。作品のインパクトに圧倒されて、しばらく自分がどこかへいなくなってしまったような感じがする。

キリアン君、よくぞこんなにも難しい役どころを見事に演じ切った!これが主演男優賞をとった男の演技なのか…っっ!!!!! 入魂の役作りと極度の精神状態を保つことは、きっと並々ならぬ努力と覚悟がいったことでしょう。ずっと昔から大好きで自分の心を掴んで離さない俳優の、オスカー作品の中での輝かしい姿。それだけで私の心は今までになく満たされました。ありがとう。そしておめでとう*☆

本当に素晴らしかったっっ!!!

英雄でありヴィランでもある…複雑な心境の変化を絶妙な表情で繊細に演じ分けていたね。

この歴史上の重要人物はキリアン・マーフィーでなきゃ誰が演じられただろうか。ノーラン監督の目の付けどころの良さよ。きっと運命だったんだね。確実に伝記ものでありながら、そうとはいえ、見方ひとつでまるでダークヒーローものを観ているかのような趣すら感じ取れる。これが芸術に昇華させるノーランマジックなんだろうな。凄いよ、ため息でちゃうね。

はぁ…もう一度観たい。
あのジリジリ焼けつくような五感を刺激する恐怖体験はちょっとクセになる。


本作を鑑賞するにあたって私が期待していたことは、本編の出来栄えよりも、この映画を観て自分は一体何を思い、どんな事を感じるのだろうか…?ということだった。ゆえに、己を試す良い機会を得られた。

やはり思った通りに色々と考えさせられたし、どこまでも小難しい内容だけれど「目で見るな、心で感じろ!」の精神で鑑賞しきった。今一番IMAXで観るべきであろう映画を自ら体験できて嬉しかった。久々の劇場鑑賞、楽しませてもらった。

手元にあるお気に入りの『ピーキー・ブラインダーズ』のキリアンがプリントされたTシャツも着て行けたし、とてもいい思い出になったよ♪

パンフレットも買えたし、またじっくり読み込もうかな。

エンドロールが終わった時、思わずエアー拍手しちゃったんだよね。心からのスタンディング・オベーションを我が愛しのキリアンに捧げたいと思います❤️

\\パチパチパチパチパチパチパチ👏✨//

オッピ~♪ハッピ~♪オッキ~リアンッ♪