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オッペンハイマーの10000lyfhのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
第二次大戦中に原爆を開発した物理学者オッペンハイマーの伝記映画。大戦という世界規模の状況に翻弄され、政治利用された科学者の苦悩が中心テーマ。「原爆が全ての戦争を終わらせる」と信じた一方で軍拡競争も予見するなど、統合失調症傾向がありそうで、利用されやすく、利用されたことを自ら抱えてしまう納得のキャラ。映画のクライマックスであるトリニティ実験の成功後、ちやほやされまくった数日後には、実践の投下への意思決定やプロセスの蚊帳の外にされる様が刺さった。広島への投下はラジオで知り、実際の原爆投下関連の映像が一切ないのも、この心情をよく表現している。声高に叫ばずとも、反戦の思いがこめられた映画だ。戦後の小聴聞会、政敵の公聴裁判(これがモノクロの理由は、単にオーディエンスに分かりやすくするためだろう)、回想として語られる本筋、の3本スレッド。このノーランシグネチャの時系列シャッフル、対象への距離が効果的なのか、本作ではストレートフォワードな表現の方が良かったのかは、なんとも言えない。ゴランソンの劇伴、彼にしては普通めオケだが、個々のシーンやアクションを過剰気味にアーティキュレートするの好き
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