ぺんじん

オッペンハイマーのぺんじんのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.7
人間の原罪を背負った、傲慢なプロメテウスの物語。
この映画では傲慢なオッペンハイマーが犯した3つの罪、「女性に対する罪」、「原爆に対する罪」、「アメリカ国家に対する罪(共産主義活動及び赤狩り)」が並行して描かれている。その中でも「サリエリ」であるストローズとの赤狩りにおける対立関係が一番強調して描かれているから、「原爆」の映画として見ると肩透かしを食らうかも。
広島・長崎の描写が無いという指摘はあるけども、これはオッペンハイマーの内心の罪の意識を巡る物語なので、歴史的な視点が無いというのは妥当だと思う。実際にオッペンハイマーはその客観的な視点が無いせいで色々な問題を起こしているので。あとオッペンハイマーは実際に広島と長崎には行ってはいない。
ただ終盤に科学者同士の連帯を描く所はちょっとナイーブかなとは思ったけど、終わり方は良かった。
ノーランは何かに囚われてしまった男の物語を描き続けている気がする。オタクの弱さへの自己言及。
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