アロユニ

オッペンハイマーのアロユニのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2

点火すれば、世界が崩壊するのか?


これが予言ではなく戒めとなることを切に願う…

内容が内容だけに、これは賛否あって然り。嫌悪感を抱く人がいて当然だし、逆に「良い映画だった!」と言うことが不謹慎とも思わない。

日本人にとって、これは非常にセンシティブな問題なので、いろんな感想を知ることもまた、貴重な教訓になっていきそう🤔


本作はオッペンハイマーという1人の人物に徹底してフォーカスしている。共感はせずとも、彼の科学者としての苦悩や葛藤についての描写は、十分に説得力のあるものだったと思う。

「作る者」と「使う者」。
大統領との謁見シーンのインパクトは凄まじかった。オッペンハイマーに非がないと断言はできない。したくない。序盤の"リンゴ"のシーンが語ったように、彼の中にも闇があるのは明白だから…🍏


原爆投下後の、オッペンハイマーの苦難の道。あれで贖罪とはいかないだろうが、あの日以来、核を知ってしまった全ての人類への警鐘としても捉えられる。終末時計の針が戻ることはもうないから、後は皆んなで止めるしかない🕰️


映画としての完成度は言わずもがな。ノーランお得意の"時系列トリック"は、今作の本体ではないものの、ストーリーを内容以上に劇的に演出する装置として見事に機能していた。

セリフ量が膨大で、そのどれもが重要なパーツとなってくるのも、いつも通りというところだが、時系列の操作も相まって、観てる間は相当な集中力を要する。

とはいえ、見事な構成、音楽、そして豪華俳優陣による演技が、映画に集中せざる得ない没入体験を誘ってくる。3時間という長尺にも関わらず、気が抜けるシーンが一つもなかったのは凄い💡


最後に、この作品を広島の映画館で観れたことは一生忘れない。
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