ももいろりんご

オッペンハイマーのももいろりんごのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
頭が回らずレビューは保留
登場人物多すぎ、時系列ちと複雑
誰が何の役か、予習必要
日本人にはエンタメとして割り切れない気がする
でもくやしいからもう一度観るかもしれん
(2024-3-29初日)



(2024-4-3)
登場人物を整理して2度目を観てきた。初回よりはだいぶ理解をしたつもりだが、もう一度観たいとまた思う。
どうやらハマったらしい。
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第二次世界大戦下のアメリカ。極秘プロジェクト「マンハッタン計画」は、ナチス率いるドイツよりも、連合国ソ連よりも早く原子爆弾を完成させる必要があった。リーダーを任されたJ・ロバート・オッペンハイマーは、世界の優秀な科学者たちの協力を得て開発に成功するも、原爆投下とその惨状を知ると深く苦悩するようになる。戦後、軍拡を憂慮するオッペンハイマーに対し、世の中は冷戦、反共。彼の人生を翻弄したのだった。
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わりと変人。とっつきにくいタイプの人だったのだなというのが第一印象。2回観てもそう思う。
仲のいい同じく物理学者で共産党員の弟・フランクの方が気安いキャラだし、仲良しのカリフォルニア大学の同僚・ローレンスは対極的で明るく気さく、考えも柔軟。
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それに比べたら、何を考えているかわからない。精神的に弱って恩師に毒盛るし、マジメなようで、夫がいたキティを孕ませ結婚、妻がいながら共産党員の元カノに会いに行く。軍事機密の仕事しながら自由過ぎ、迂闊過ぎ。
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でも物理学者の”お仕事ドラマ”みたいな(ちょっと表現軽いけど)、その”生き様”を表現している人間ドラマがいいと思った。
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前半は原爆がどのように作られたか。国家プロジェクトに尽くす物理学者たち。後半は国の方向性や思想とのギャップ、政治に翻弄される姿が、原子力委員会長官のストローズとオッペンハイマーのボタンのかけ違いのような対立を中心に描かれる。
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冒頭の光、炎、水、波紋、星、闇…は彼の頭の中だろうか。彼が想像する宇宙か、はたまたミクロの世界か。さらに音が感情を揺さぶる。光と音の演出がすごい。
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そして学者という生き物。有名な学者がたくさん出てくる。初回は誰が誰だか分からず。2回目でやっとそれぞれの考え方やキャラがわかる。オッペンハイマーにはいろんな仲間がいたのだね。
爆発の威力を求めて、計算し、核分裂から核融合、あり得る、あり得ない…いわゆる凡人には辿り着けない知識は世界を変える。
でもその素晴らしい知識と”結果”をどう使うか決める役割と責任は、別の人・組織が持っている。(開発者に罪がないとは言わないが、オッペンハイマーが大統領に接見した際のあの方のキレ方には苦笑してしまった。)
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アメリカは日本が怖かったんだと思う。なかなか負けを認めない根性論の島国が。戦争が長引き、遠い戦場のアメリカ兵を早く帰したかったのだと。アメリカの肩を持つつもりはないが、日本が負けを認めるチャンスを先送った結果の1945年の8月だと個人的には思っている。
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戦争が始まると「国のため」ってどこの国でも国民を愛国心で煽るのは同じでしたね。本当にいつも胸が苦しくなる。
だからこそ、アインシュタインの言葉が沁みて、キリアン・マーフィーのあの瞳が全てを語っているように思えた。