構成、映像、音響、作品の質としてはとても素晴らしいのは間違いない
ただオッペンハイマーが原爆を発明し投下にむけ従事したことに対する後悔が希薄な作品になってしまっているのが正直残念なところ
原爆投下後のスピーチの狂気の表現はとても良かったのだが、原爆投下を支持した人間の悍ましさは申し訳程度のあの一瞬だけ。
それで終わっていればまた評価は違ったろうが、そこから作品は終わらず主人公の嫌疑からの復権を描くことに主題がシフトしてしまったのは蛇足も蛇足でバイアスなしでもシナリオやメッセージ性に大きな減点
結局は原爆発明の経緯とその言い訳を語りオッペンハイマーや原爆投下を正当化するにすぎないチープな作品に成り下がってしまっている
これまで大きなメッセージがありつつも映画としてのエンタメ性を徹底し観客を魅せる映画を作ってきたノーランならもっとやりようがあったように思える
そういう意味ではノーラン作品唯一の駄作とも言えよう
正直ガッカリでもある
スピルバーグにはまだまだなれないか
また弟と一緒に作品作ってくれよ
その方がおまえは断然いい作品作るよ
これがアカデミー賞を総なめにしたというのだから、偉そうに表面上だけのポリコレを傘にきた西洋人の認識のたかが知れる結果にもなってしまったのも非常に悲しい
