第22回東京フィルメックス・コンペ
前作『昨夜、あなたが微笑んでいた』がスペシャル・メンションを受けたニアン・カヴィッチの作品。ヴェネツィア映画祭オリゾンテ部門でプレミアされ、来年のアカデミー賞カンボジア代表作品に選出されている。
『昨夜、あなたが微笑んでいた』のフィクション版とも言おうか。今作は完全にドラマ映画。なのだが、固定カメラでの長回しや無名の人を起用したことで限りなくドキュメンタリーに近いタッチになっている。
大学での勉強のためにダンスで稼ごうとする青年とホワイト・ビルディングからの立ち退き騒動が交錯、さらに家族のドラマでもある。
それぞれをミニマルに描き、超自然的な描写も入れてくるあたりが色んな作家の影響がありそう。
決して背伸びをせず等身大のスケールで語る姿勢に好感を持った。ホワイト・ビルディングから離れて今度はどんな作品を撮るのか、監督の今後が楽しみ。