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聖闘士星矢 The Beginningのドントのレビュー・感想・評価

聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)
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 2023年。どうしてこういうことになってしまっているのか? 日本漫画史に残るバトル漫画を、千葉真一の息子新田真剣佑を据えてショーン・ビーンにマーク・ダカスコスを迎え、東映がアメリカにて作り上げた実写版。幼い頃にさらわれた姉を探して地下闘技場で戦う青年・星矢が大いなる神々の戦いの序章に身を投じる。
 とにかく長い。何が長いかというと修行とか前フリが長い。世界がこうなってるという説明とか、なんか山に登ったり岩を砕いたりカラテ(カラテではない)をやったりとか、後のアテナとなる娘と色々こう、やりとりしたりとか、そういうのが多すぎて長い。
 で、星矢がまぁそれなりに戦えるようになってからも敵をゴソッとぶちのめすという流れにはならない。苦悩と挫折と苦悩と挫折ばかりで終盤までアゲ感がない。古式ゆかしいジャンプ漫画らしいと言えばそうなのかもしれないが、適当に美味しいものを配置して引っ張ってもらわねば困る。敵も小物しかおらず、結局は親権争いである。このスケールのちんまり感つったらない。
 で、ようやっと聖衣(クロス)をビシッと着て戦うわけであるが、まぁもうこれ、旨味がない。真剣佑が生身で戦ってた前半やダカスコスvs改造人間兵士とかの方が肉々しくてトリッキーで断然よいのである。盛り上がらねぇなぁ、でもここから一発カマしてもらえれば、と思っていたら、クライマックスはバトルではなく、真剣佑による半裸説得という展開になった。ちょっとフーッと気が遠くなった。
 向こうで、向こうのスタッフを動員して作っているんですけれども、そしてキャストも外国人なんですけれども、すごく「東映」映画なんですよ。わかりづらいと思うんですが、邦画っぽいの。「東映」の雰囲気がすごくあるの。少しリッチなだけで、世界に出すようなデッカさになっていない。イマジネーションやロマンがまるで足りていない。ちっこいのである。
 本当になんでこういうチンマリした出来になっているのか理解に苦しむ。ドラマとかゴリゴリ削って、たとえば原作準拠でイケメンをドシドシ出して戦隊結成譚みたいに仕立ればよかったのではないか? いやそうでなくても、最後にすごいバトルと爆発で締めてくれたらそれでよかったのだ。どうしてこうなった。期待値低めで観たんだけれど、それを下回ってきたのでビックリしました。なお真剣佑のイケメンぶりとダカスコスの男前ぶりは超よかったです。おわり。
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