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Feathers(原題)
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『Feathers(原題)』に投稿された感想・評価

[] 60点

主人公の女性は、シミだらけでヒビ割れた壁と塗装の剥げた家具に囲まれて、三人の子供を育てながら並行して家事も行っている。夫は彼女に買い物や献立の命令だけ出して手伝わず、子供にプレゼントを買ってくるなどの子育ての"美味しい部分"だけ掻っ攫っていく。そんな夫は息子の誕生パーティの席で、招いたマジシャンによる変身マジックに巻き込まれ、鶏になったまま元に戻らなくなってしまう。興味深いのは押し込められた家の外側に広がるポストアポカリプティックな世界観である。別にそれを目指しているわけではないのだが、煙と埃だらけの不毛の大地と廃墟のような建物が並び、水浸しの部屋の中を平然と牛やロバが闊歩し、ボンネットに態度の悪い猿が乗ってきて主人公を煽り散らかし、あちこち錆びついたボロボロの車で解呪師を探し回るその様は、終末後の世界と言われても遜色ない。更に、主人公は夫が鶏になったことについても稼ぎ頭がいなくなって家賃を滞納していることについても、特に驚きもせず淡々と対応しているのが印象的だ(闇落ちしたアキ・カウリスマキとか言われてて草)。デッドパン・シュールコメディのような描写は、主人公が無言の従順から徐々に自立し、自分の人生を奪い返していく過程と上手く調和していて、非常に見応えがあった。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.5
【お父さん、鶏になっちゃった】
昨年ブルキナファソで行われたワガドゥグ全アフリカ映画祭で上映された作品『Feathers』。どうやら父親が鶏になってしまう映画らしい。入手したので実際に観てみた。

傲慢な父親は画の中心でふんぞりかえりながら、「イクメン」として子どもたちの面倒をみている。実際に面倒な家事育児は妻がやっているだけだ。そんなある日、子どもの誕生日にマジックショーが繰り広げられる。父親が意気揚々と箱に入る。そして鶏に変わる。しかし、鶏から父親に変換することができず、彼は消滅してしまった。恐らく、この鶏が父なんだろう。

本作は、抑制されたテンションで父が消えた世界を描いていく。それはシャンタル・アケルマン『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』を彷彿とさせる。傲慢で有害な夫が消えたところで妻は家事育児から解放されることはない。動物を掻っ捌く汚れ仕事を淡々とこなし、役所仕事もこなすのだ。

印象的なのは、窓の外に映る景色だろう。親戚が集まり賑やかな宴。その背に映るのは、地獄のようなドヨンとした風景である。固定されたカメラで、ヒリヒリとした日常を捉えていく。一見、出オチな映画に見えるが、そこにはエジプト社会における女性の閉塞感が凝縮されていた。これは日本も他人事ではない話であろう。