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ベスト・セラーズ/小説家との旅路のHKのレビュー・感想・評価

3.3
“ブルシャイト”とは英国なまりの“ブルシット(bullshit)”。
字幕ではよく“クソくらえ”と訳されてるアレ。
本作でマイケル・ケイン演じる気難しい老ベストセラー作家の口癖です。
でも原題は“Bull Shit”ではなく“Best Sellers”(ベストセラーズ)。略せばどちらもBSですが。

あれ? CSでは『小説家との旅路』というタイトルでしたが、ここでは頭に原題の“ベストセラーズ”がついてますね。

父親から出版社の社長を継いだ娘(主人公)が経営難の打開策としてかつての大御所ベストセラー作家に新作を依頼します。
しかしこの作家、40年以上も新作が無い老作家で、2人でプロモーションとして各地の書店やバーをめぐるブックツアーを決行しますが、作家の常軌を逸した言動が物議を醸し・・・
ブックツアーってサインやら握手会をするのは知ってましたが、朗読もするんですね。しかもバーで。

昨年引退宣言をしたケイン(現在90歳)の現在視聴可能な最新主演作(たぶん)。
3年前に公開されたアメリカ・カナダの合作で、日本では劇場未公開です。だから邦題が不安定なのか。
もう歩くのもやっとだからと、ケインはクリストファー・ノーランの新作『オッペンハイマー』出演の誘いも辞退したんだとか。

ノーランの『バットマン ビギンズ』でアルフレッド役(当時72歳)をやった時は、この役にはまだ若すぎると思ったし『ジーサンズ』(当時84歳)でもまだまだ元気に見えたケインですが、本作では杖をつく足元もおぼつかず、たまに車椅子を押してもらう姿は、多少演技が入ってるとしてもさすがにお歳を感じました。

正直、話はもっと面白くできたろうと思いますが、マイケル・ケインの偏屈な頑固ジジイっぷりは堪能できます。

途中でワーナーのアニメ“ロードランナーとワイリーコヨーテ”の話が出てきて、実際のロードランナー(日本名:オオミチバシリ)の走るスピードは時速30キロ、コヨーテは時速70キロだからこのアニメは“ブルシャイト”だと作家が言うんですが・・・もうちょっと面白いオチを期待したのに・・・
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