ドント

犬神家の一族 4Kデジタル修復版のドントのレビュー・感想・評価

3.6
 1976年。一応、再々見。一代で財を成した家長が死んだばかりの犬神家でとんでもない遺言が発表され、混乱の中、犬神家三種の神器「斧」「琴」「菊」になぞらえて孫たちが殺されていく。
 70年代の角川による映画✕文庫のメディアミックス企画の第一弾。旧弊的で暗鬱なイメージ(あくまでイメージ。原作は軽妙な雰囲気があったりする)のこのミステリを、モダンな撮影と編集の市川崑に任せた結果見事な化学反応が起きて素晴らしい作品となった。人は無惨に死ぬ。
 食い気味の編集や突飛な演出が、屋敷が怖かったり首がもげたり白いゴムマスクが出たりと、ともすれば重苦しくなりそうな物語をパチパチと進めて、石坂浩二の飄々とした好青年金田一が場を明るく理知的に支配する。キャストもまぁもう素晴らしく見応えしかない。特に旅館の女中の坂口良子がかわいい。美人と言うよりか、かわいいというのがミソである。
 原作と監督とキャストの歯車がほぼガッチリ噛み合って145分がノシノシと進む。「ほぼ」というのは演出にまだ迷いや、気負いのようなものがほのかにあるためで、これは次作の『悪魔の手毬唄』で完全に解消され、より素晴らしい作品となるのであった。音楽もいいし、ご存知エヴァがマネッコしたキャストスタッフロールは今観てもかっこいい。修復版の映像は青みがかっており、屋敷の冷たい空気や湖の凛とした風景などが際立っている。冒頭の臨終シーンで目が開いているのがわかりチョー怖かった。(長文感想お休み中)(長くね?)
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