CHEBUNBUN

TASTE テイストのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

TASTE テイスト(2021年製作の映画)
2.0
【ナイジェリア 人、YOUは何しにヴェトナムへ?】
第71回ベルリン国際映画祭エンカウンター部門で審査員賞を受賞したヴェトナム映画『Taste』を観た。事前にペドロ・コスタとツァイ・ミンリャン映画を足し合わせたような作品だと聞いていたのだが、そのまんますぎて驚かされました。

仄暗いヴェトナムのある集落。足を骨折し、サッカー選手の夢が断たれたナイジェリア人は故郷に帰れないのかスラムで停滞した暮らしを送っている。床屋で日銭を稼いでいる。この集落には女性もいて、広い空間で裁縫をしている。その様子を序盤はほとんどセリフなしで描く。廃墟に近い空間での微かな営みを画として刻み込む。やがて、ナイジェリア人の男が監獄のような暗く閉鎖的な空間で裸になり、生活を始める。同じような男たちと一緒に、クルクル部屋を走り回ったりする。やがて、男はイチモツを掴みながら独白を始める。

撮影に関して、全ショット絵画を意識した構図となっており、陰影を活かした強調が上手い。一方で安易に裸から内なる自己を結びつけている気がして、作劇はそこまで上手くないなと感じた。とはいえ、巨大な空間に風船のように布に空気を送り込み、それが萎んでいく場面は圧巻であった。

上映されるとしたら恵比寿映像祭あたりになるだろう。
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