ゆめちん

ワース 命の値段のゆめちんのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
3.5
ワース 命の値段
 
9•11関連の作品は今まで何本も作られてきたけど、本作は20年以上経過した今だからこそ語ることのできる話で、予告編を観た時から楽しみに。
 
9•11のアメリカ同時多発テロ発生直後、政府は被害者と遺族を救済するための補償基金プログラムを設立する。弁護士のファインバーグは特別管理人を任され、約7,000人の対象者に支払う補償金額の算出作業を開始する。
 
社会派映画かと思っていたが、予想以上に人間ドラマの要素が強い作品になっている。
被害者の年収や資産をベースに "命の値段" を出すという計算方法は、普通に考えても問題だらけで、猛反発を食らっても当たり前。
すべての犠牲者には数字では表せないそれぞれの "物語" があり、主人公がそれを理解し被害者に寄り添うことができるかが本作のポイント。
 
冒頭、"こんな事態を招いた国にも怒っている" と語る息子を亡くした母親。対テロ戦争を繰り広げたアメリカの功罪について、多少触れてはいるものの、もう少し突っ込んで欲しかったというのが正直なところ。
 
主人公の揺れる気持ちを、台詞ではなく微妙に変化する表情やちょっとした仕草で語る、マイケル・キートンの抑えた演技が光る。被害者側のリーダーであるチャールズを演じたスタンリー・トゥッチとの静かなやりとりも見応えあり。
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