RIO

ベルファストのRIOのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
1969年に北アイルランドで起こった宗教紛争と、その地に生きた家族の物語を、実際に幼少期に体験したケネス・ブラナーが半自叙伝として描いた今作。

映画としては極めてパーソナルな物語。
大きな紛争にもかかわらずあくまで子供目線で近所の日常のように描いているのに、心揺さぶられて、かつ心温まる家族の物語を見せてもらい、そっと心の奥にしまっておきたくなるような作品でした。
とびきり愛しい家族が並ぶシーンにはほっこりしつつ、思わずグッときてしまい涙。
そして、今思い出しても泣きそうになるシーンなのは、何故か些細な日常の描写ばかりです。

また、ケネス・ブラナー自身も過去に監督をした「マイティ・ソー」のコミック、サンダーバードの衣装とおもちゃ、宇宙開発など、彼の幼少期の思い出の中に楽しく光っているのであろうモチーフ達が心くすぐるディティールとして登場。
多幸感に溢れた音楽チョイスも良かったなぁ。
この時代を実際に体験した訳ではありませんが、当時を生きた人には楽しい思い出として共有されるのであろうことが羨ましい。

コロナ禍で制作が決定されたという今作ですが、偶然にも昨今の心痛む戦争と重なるような描写もあり…。いくら過酷な状況でも、そこで生きている人達の生活はあり、その数それぞれの家族もある。
今作も、正解など無いただ愛しい家族の絆に感動しつつ、自分の当たり前の日常を見直したくなる、そんな考えさせられる部分がありました。
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