健一

あのことの健一のレビュー・感想・評価

あのこと(2021年製作の映画)
4.0
『受け入れなさい。選択肢は無い。』


昨年度(2021年)のヴェネチア国際映画祭にて金獅子(最高賞)賞を受賞した作品。
カンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した「TITANE /チタン」といい 本作といい。
今、『イタイ(痛い)女性のフランス映画』が主流なのかな?😅

まず第一に。
『'60年代にフランス🇫🇷で中絶が違法で規則を破れば刑務所行き』だったなんて全く知りませんでした。
無知識で自分を恥じた作品でもあった。😣

大学生のアンヌは予期せぬ妊娠に戸惑い四苦八苦の日々。
しかし 夢と学位の為に孤独に現実に立ち向かう。
そして、最後に下した決断とは・・・

夢見た将来か。厳しい現実か。
この間 観た「シスター 夏のわかれ道」と同じテーマ。

何の説明もなくどんどん話が進んでいく。
時代設定が いつ かも分からないまま。
中盤になって主人公の女性が『生年月日』を問われて答えるシーンになって初めて『60年代頃の話なのかな?』と気付く不親切さ。
でも、なんか。そこが斬新でいい!
女子大生の私生活をのぞき見しているかのような不謹慎な感覚にも落ち入る。
女性の方が本作を見ると主人公の女性を『体感』しているような感覚になるのだと思うが、男性が本作を観ても『妊娠』『中絶』経験が当然無いので『のぞき見』みたいな感覚になってしまう。🫣
それはそれでいいのかな?
監督のねらいも『そこ』だったら男性の私も本作と出会えて良かったと思う。😅

初期のダルデンヌ兄弟の作風によく似ている。
特に'99年の「ロゼッタ」のような作品。
ひとりの少女の苦悩にずっと寄り添う1時間40分。
男の私が決して人生では味わえない『貴重(?)』な体験でした。😅

軽率な性行為の代償。
それはいつの世も同じ『こと』なのでしょう。
いくらテクノロジーが発達し暮らしが豊かに便利になっても・・・
中絶が違法だというのに その行為をやめない。
『羞恥心より欲望のほうか勝(まさ)ったの。』
アンヌの親友の一言が全てを物語っている。


ここからネタバレ‼️


『7月5日』

すべての『こと』が終わり、この日付のテロップが出た後。
彼女は試験を受けている。

この日付。
わたくしの誕生日なので、ちょっとドキッとした。😅


あの子と あの事。  あのこと。



2022年 12月5日 15:30〜
丸の内 TOEI ②
💺360席
客入り 30人くらい。

平日 昼の雨の中☂️、久々の丸の内TOEI。
大好きな映画館なのだが 今回は劇場選択をミスったかも。
ちょっとキャパが大き過ぎた。
本作のようなアート系の作品は小さな映画館でじっくりと酔いしれたい。
健一

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