このレビューはネタバレを含みます
少々説明過多な作品群に飽き飽きしていたところなので.最初から「え?」「なにこれ?」と洋画にありがちなキックがないまま、家族経営の裕福な男の語られない異国での日常が淡々と続く。
アカプルコでは一癖ありそうな連中がいろいろ接触してくるが、特に自己防衛本能を発動することなくやり過ごしていく。私ならメキシコのきれいなお姉さんが近づいてきたらまず美人局を疑う。悲しい性。
どこで妹が、養豚場の財産継承者かギャングに漏れたのか? 彼女からか?彼女とタクシー運転手がつながっていたのか?
所々に出てくる養豚場の豚(幻影の)は何のメタファーであるのか?
主人公が末期の病気である事は中盤からなんとなく察せられたが、妹やその子供にそれを隠していた理由はわからない。
何もかもがどうでもよくなり異国で暮らしたいことはわかる。それにしては相続放棄のかわりに受け取る金額が大きすぎるような気もする。
いずれにしろ一編の純文学を読んでいるような、そんな読後感のある映画です。