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ある男のyamacotoのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
3.9
【愛した夫は何者なのか?】

肩書きや名前、身なりを見繕って変えたとしても、生まれた親や人種などのルーツは一生変わらず付きまとう。

安いワインに高いワインのラベルを貼り、高級ワインと騙される人が多い。作中でこんな話が出てくるが、社会の本質もこんなもんなのだろうと感じる。その人の根底や本質ではなく、仕事や身なり、住んでる家など、外側ぐらいしか気にならない。

それでも本人達にしてみれば、そのルーツによって受けた心の痛みやコンプレックスというのは根深く残る。自分もフツーの家庭とは言えない環境で育ったので、なんとなく共感出来る。


戸籍を巡るミステリー調のドラマということで、最近観た「市子」に似ているテーマではあるが、今作はよりその人物のアイデンティティを深ぼっている印象。

想像より単調なドラマ展開ではあるものの、妻夫木くんをはじめキャストの演技力の高さでしっかり惹き込まれる作品に仕上がっています。特に仲野太賀くんは脱帽でした。
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