フォロイーさんたちのレビューを読んで面白そうだったので鑑賞しました。
主人公の里枝は夫（谷口）と子供たちと幸せに暮らしていましたが、ある日事故で夫が死亡。死後、夫は別人の名を名乗っていたことが判明する、というサスペンスです。
弁護士を通じて、谷口は本当は誰なのか、どうして別人に成りすましていたのかを追っていきます。
そこから見えてくるのは、様々な理由で名前を捨ててでも別人として生きていきたい人がいるということ。
恐らく私の回りにはこのようにこっそりと別人に成りすましている人はいないだろうと思われますが、別人になりすましていたら私なんかには確かめようがない。きっと世の中にはそうそうやって別人として穏やかに暮らしている人もいるのかもしれない、そう感じました。
自分では選んだり変更したりすることができない出自。なのに、その出自によって生き辛さを強いられる人々がいる。谷口の真実を追う弁護士もまたそのような息苦しさを感じている一人でした。
例えば100人に「差別はいいことだと思うか？」と問うと恐らく100人全員が「差別は悪いことだ」と答えるのではないでしょうか。差別なんて絶対に良くないと誰もがわかっているのに、この世から決してなくならない。根深い問題です。そんな世の中の闇を描いた作品でした。
ラストは思いもよらぬ終わり方で、どういうこと？という気持ちで映画は終わりました。答えが欲しい！いや、でもこういう終わり方、けっこう好きです。
