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カラダ探しのドントのレビュー・感想・評価

カラダ探し(2022年製作の映画)
3.7
 2022年。あれっこれ存外に痛快じゃない? 痛快惨死青春スリラーじゃない? 高校で透明な存在な毎日を送る少女がある日いきなり深夜の学校にスッ飛ばされる。集まるは互いに仲良くもない5人のクラスメイト。なにこれ? と思ってたら真っ赤な少女にゴリゴリされて全員惨死! と思ったらその日の朝に戻っていた。デスループゲーム「カラダ探し」の始まりだ!
 怖くはない。そもそも「校内にある体を探し切るまで殺されては生き返るループ」なんて話が怖いワケがない。言うたらゲームである。恐怖を期待してはいけない。DbDとか青鬼とかああいう感じ。赤い少女もフィジカルでボコボコ攻撃してきてクソ強い。ヨイショッ!ソラッ!殺!ってなもんである。怖いっちゃ怖いが、通り魔とかヒグマと同じ怖さである。
 そういうゲームをやり慣れている最近のヤングは適応性が高いので2周目でだいたいを把握し、なんか死んでもちょっと痛かったくらいで生き返るため恐れたり怯えたりしない。「あ、ゲームだなこれ!」と割り切ってサクサクとやっていく。そして死ぬ。面倒な葛藤とか怯懦がない。目指すものが同じなので階層を越えてすぐさま仲良くなる。ちょっとは恐ろしがれやと言いたくなるが、高校生なんてみんなバk……世代が違うのだからしょうがねぇのだ。
 ゲーム映画で高校生なんだからしょうがねぇよ、ナウいヤングはこのノリなんだよ、というのを呑み込めれば、ループものやデスゲームに特有のコチコチなキャラづけや後付け上等の展開もいっそ心地よい。盛っとけ盛っとけ、出しとけ出しとけ、あと「イェーイ残りは首だけだ~!」つって6人でビーチバに行かせて青春させとけ、という大盤振る舞い、言うなら惨死ブレックファストクラブ。とは言えさすがにビーチははしゃぎ過ぎではないかと大人の私は思った。
 いっぱい詰めたから細かい部分ははしょって走れ、な姿勢もよろしい。終盤までは面倒な説明台詞とかドラマもないし遅延もない。サクサク進むしザクザク死ぬ。このザクザク死ぬのもなかなかよろしくてね。半身真っ二つが2回も出てくるし貫通とか串刺しとか逆撲殺とかあるの。しかも顔のいい連中が無慈悲に。さらにループするから何回も。こりゃあ景気がいいですよ。さらに景気よくあんなヤツやこんなもの出てきちゃって嬉しくなっちゃったね。
 終盤はダメな邦画的モッタリ感が現れてきたりもするが、ループモノの安心感を逆手に取った展開や設定が生えてきて本作、逆説的に「青春の一回性」というものを語るなんかいい感じの話に回収されていく。憎いことするじゃないの。理屈とか整合性とかはさておき、面倒な情動をできるだけ排してガンガン回すアトラクション/ゲーム的映画として楽しめたのであった。あと何気に演出や照明や、ドラム缶を殴ってるようなガンガンBGMもイケていて退屈することがない。人が死ぬ『学校の怪談』とでも評しましょうか。面白かったですよ、ウン。
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