ゆめちん

イノセンツのゆめちんのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.0
イノセンツ
 
9歳の少女イーダは、両親や重度の自閉症である姉アナと共に郊外の団地へ引っ越してくる。彼女は同じ団地の別棟に住むベンという男の子と仲良くなるが、彼はある特殊な能力を持っていた。
 
冒頭、横に座る自閉症の姉をつねったり、ベランダから唾を吐いたり、イーダの意地悪な側面をほのめかす。子供は無邪気な反面、物事の善悪をきちんと判別できず、意地悪な行動をとってしまう。物語が進むに連れその行動がどんどん残酷さを増していき、やがて手に負えない状況へと発展していく恐ろしさを観客は体感する。

遅い時間でもまだ明るさの残る空、人影が少ない屋外の風景、度々映し出される無機質な団地の外観などがその恐怖をさらに煽る。個人的には話が本格的に進む前のイーダとベンのある行為がもっとも恐ろしかった。

"ボーダー" や "ミッドサマー" などの雰囲気を感じさせる、北欧作品独特の"残酷さ" と "お洒落さ" を絶妙に配合した作りは本作でも健在。
スクリーンには何度も子供たちの瞳が大きく映し出され、その度に彼らが何を見て何を感じているかが伝わり、子役4人の演技の上手さが際立っていた。
ゆめちん

ゆめちん