かくしてその時は、大きな静けさと共にやってきた。
「ノアの箱舟」のごとく動物と人々は共にその大船に乗り、どこかへ向かう。
裕福な生活を思うがままに享受する人も
変わらぬ地味な日々に疲弊する人も
同じ船に乗れば同じ運命を歩む。
気がつけば水は足元を濡らし、船体はゆっくりとゆっくりと音も立てずに傾いていく。
しかし誰も争う者はない。
静かに、静かに、皆その時を享受するのが当たり前かのように、足元に浸る水を見つめて。
むしろ船長を称賛する船の民たちの異様さは忘れられない。
風刺のような気もするし、シュールアニメのような気もするし
とにかく異様で見入ってしまった。