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ベルリン・天使の詩 4K レストア版の中のレビュー・感想・評価

3.0
天使は人間の自己完結した陰鬱な思弁を読み取れる。人間を見守り救うこともできる彼らは、全知全能の神というわけではない。
数少ない天使同士でコミュニケーションを取ることはできるけど、人間社会に天使個人として干渉できず、ダミエルは人間に憧れてる。天使は常に「部外者」として生きるしかないんや。
煙草やコーヒーなどの俗物に魅かれたり、恋愛をして女に夢中になったり、心身共に痛みを感じたり、ダミエルは人間としての生を謳歌する道を選ぶ。

「部外者」でありたくない想いと、「特別」でありたい想い、これらは共存するんやな。少なくとも誰かにとっての特別な存在でありたいって願いは別に傲慢なものじゃなくて、普遍的で人間の根源的な欲求やと思う。
だから、人間視点でしか考えられへん俺には、人間にならへん天使を理解できひん。誰とも共有してない詩情の世界で生きてるような感覚じゃないんかな。個人のスパークが誰かと起こす化学反応より素晴らしいとは決して思えへん。

それにしても、詩を映画にするとこんな感じなんやな。ストーリーなんかほぼなくて、言葉と音楽で紡がれた映画。
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