ひれんじゃく

アステロイド・シティのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.3
キャストがいつも通り物凄く豪華でウィレム・デフォーやエイドリアン・ブロディや監督のお気に入りがいい感じでそこは大変良かった。あのエイドリアン・ブロディ服装から性格から個人的にメチャクチャ好きでした……………

ただ何が描きたかったのかがよくわからず残念。核兵器のオモチャみたいな扱いといい…………「フィクションはフィクション以外の何者でもなく、主義主張を込めるものではない」という矜持?をここでも感じた。ふたつの異なる世界での物語を同時に語るっていうやり方はグランド・ブダペスト・ホテルを思い出したけど、あれは単純に時系列が過去と現在で二分化されてただけなのでこれとは少し違うか。
「アステロイド・シティ」というドラマ(舞台?)の世界と、その作品を作らんとする俳優や監督や脚本家の世界を交互に見せるっていう、「フィクションの中でフィクションを作る」様を見るのはとても好きなのでそこは好みだけど、ではその語り口を使うことでどのような効果が生まれて、なにを狙ったのか?となると何もわからないという感じ。あくまで個人的には。

見るたびに思うけど、やたらと人物や物を中心に置いたえらく人工的なカクカクの画面、ポップすぎてフィクションらしさ丸出しの色味、感情を表出してはいるものの表情がどこか固く不自然さが見える登場人物たちはどこまで行っても変わらないこの監督の特徴なんだなと感じた。この不自然さや隠す気のないフィクションの味付けを洗練された形で楽しむ分にはとてもいいと思うんだけど、それ以外の要素は何もわからなかった。無念。
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