えいがうるふ

女神の継承のえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

女神の継承(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

モキュメンタリーとしての編集がなかなか秀逸。タイ東北部の里山の村という、いかにも土着信仰の強そうな印象の現地のリアルな文化風俗をほとんど知らないこともあって、映像の粗や演出の雑さがかえって臨場感を醸し出し、かなり話が進行するまでフィクションとノンフィクションの境目が分からず混乱した。結果、作り手の狙い通りに半信半疑のままかなり引っ張られた。
なにしろメインを張る3人の女優の演技力があるのか無いのか分からない「素」ぽさが凄まじい。年かさの二人の抑えた芝居もやたらリアルだが、後半で豹変するうら若きヒロインの身体を張った取り憑かれっぷりはとりわけ迫真に迫る恐ろしさでゾッとした。このミンを演じたナリルヤ・グルモンコルペチのその後が気になり、思わず後で近影を検索したところ、まさにこの映画のプロモーション動画の中で屈託なく笑う彼女の姿を確認してホッとした次第。

残念ながらサブキャラ・モブキャラがガンガン投入されてくる後半からクライマックス以降はさすがにモキュメンタリーとしてのクオリティはガクッと下がり投げやりなぐらい作り物感丸出しになるものの、それでも絶対に笑っていはいけないナントカの如く、演者たちがエンディングまで無理やり「実話でござい」の空気を保ったまま突っ走っり、そのまましれっと終わる潔さが新鮮で面白かった。このラストでダメ押しのようにぞわっとさせる感じがまさにコクソン。