たき

プリテンダーズのたきのレビュー・感想・評価

プリテンダーズ(2021年製作の映画)
4.0
見上愛目当てで観ました。

承認欲求それ自体は悪いことではないのですよね。
ひとが、ひとである以上当然の欲求であるわけですし。
それを自己顕示欲を満たすことで解消しようとしたり、あまりに自分を殺すことで周りに認められようとしてしまうと、アイデンティティを保てなくなる。崩壊する。

全か個か。ではなく、全も個も。

ひとはなにかと事象をカテゴライズして切り分けて、なにかをあきらめることでなにかを得ようとしてしまう。
けどこればっかりは、必要十分条件。どちらか一方では、結局望みは叶えられないのですな。

そのためには結局のところ世界を変えるか、自分を変えるか問題にぶちあたるわけですが、ぶっちゃけどっちでもいいと思うのです。なんだか自動的に世界よりも自分を変えるほうが正義だとか美談みたく語られることが多いのですけれども。どっちでもいい。それで自分も世界も幸せになれるのであれば、変えられるほうを変えればいい。と思うのです。

そんな邦画特有の大演説(揶揄してないですよ。大好物ですよ)でクライマックスとともに終了かと思いきやちゃんと世界を変える方法論にまで言及してるとこがよいですね。

ここでもやはり自動的に嘘はいけない、という思考停止に陥ってないところがドストライクでした。
しょせん真実なんてひとの数だけあるし、たったひとつの事実ってやつには実はそんなに価値がない。
嘘は、死ぬまでバレなきゃそのひとにとっての真実になる。
けど決して嘘をついてる本人だけはだませないから、結局みんなを幸せにはできないのですよね。(罪悪感をもたないようなひとにはなりたくないし、なってほしくない)

じゃあどうするのか、というおはなし。

直感的に、せやろか、いやでも言われてみれば、というふんわりとした着地点ではあったのですが、こうして感想をぶち撒けているうちに、なんとなく、じわじわと効いてきているような気もいたします。
そもそもだからこそ俺はこんなにも映画(フィクション)にのめりこんでいるのかもだし。

見上愛。やはり角度によってすさまじく小松菜ちゃん味が強いので俺得でした。

小野花梨がもう。こんなやつたくさんいる。ほんまにたくさんいる。見事なまでのこじらせっぷり。圧巻でした。
たき

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