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スープとイデオロギーのはるのレビュー・感想・評価

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)
4.5
在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ監督ご家族のドキュメンタリー。3作目は、済州島出身のアボジとオモニ(監督のご両親)がなぜ朝鮮籍を選んだかについて初めて語られていました。


オモニは、1948年の済州島で起こった島民虐殺事件の生存者でした。済州島四・三事件と呼ばれていて、この作品内でもアニメーションで紹介されていましたが、言葉を失うほどの衝撃的な虐殺事件でした。
済州島出身の在日の人々が北に希望の光を求めたことは当然の流れだったことがよく分かりました。

時は流れて、アボジはお亡くなりになり、監督は日本人と結婚されていましたが、南北の分断は今も続いています、、、
2005年から続く、合計3作のドキュメンタリーには、日本人として知っておくべき事が沢山ありました。

アルツハイマーを発症し時間軸を失いつつあるオモニにつらい過去を語らせる部分は、娘である監督自身も辛かったと思います。
それでも真実を掬い取り発表されたとても貴重な作品でした。

「国や考え方が違っても一緒にご飯を食べよう」オモニから監督のご主人に引き継がれたスープのレシピは、鶏のお腹に、なつめ、朝鮮人参、青森にんにくをたっぷり詰め込んでいて美味しそうでした。


↓ここからは個人的な鑑賞メモなのでスルーして下さい。年代とか間違っている部分もあるかも。

1910年、朝鮮半島は日本の統治下に
1945年、大戦集結。朝鮮半島は開放されるも北は旧ソ連、南はアメリカが介入
1948年、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国の2つの政府が生まれ民族分断の悲劇が始まる。
同年4月、済州島四・三事件
1950年から3年に及ぶ朝鮮戦争を経て南北の対立が激化、今に続く。
1959年から20数年間の「帰国事業」で9万人以上の在日が北朝鮮に渡る

1度も訪れたことのない未知の国である北朝鮮へ渡った在日たちが日本に帰ることは今も許されないままである
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