リミナ

デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNINGのリミナのレビュー・感想・評価

3.3
※TVシリーズは一部視聴済み

02の映画としては、実に22年振りとなる本作。
2020年に公開された「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」と同様、TVシリーズのその先が描かれる。

正直なところ、全体的に劇場作品としてはローカロリーな画面に物語の構成・テンポの悪さが目立ってしまっていた印象。
本作では"対話"をテーマにしていることに加え、明確な敵役が存在しないため、アクションは少なく会話シーンが大半を占めている。
会話シーンが中心となる場合は、間が持つ構図・レイアウトやポージングが欲しいところだが、7人の選ばれし子供とそのパートナーデジモン6体を一堂に会しているためか、特筆すべきカットはあまりなかった。
回想パートでリップシンクや枚数多めな振り向きとそれまでと異なる作画により、声優の演技と相まって不気味さを演出できていたのは良かった。

物語の構成については、22年振りの作品であるのに冒頭は日常シーンや事件にスポットが当たり、主人公らの活躍が見られないのが掴みとして弱く感じる。「LAST EVOLUTION 絆」でのパロットモン戦のように、冒頭で物語の主軸ではない相手とのアクションシーンがあれば久々に再会できたキャラの活躍を見られつつ、後に会話が中心になろうとも映像的な緩急もつけられたのではないかと思う。

また、テンポを悪くしている要因としては、主に回想パートと物語に直接関わらない外野の反応が挙げられる。
前者は新キャラの回想→大輔らの反応→再び新キャラの回想を繰り返すのが冗長だった。
後者はメインイベントの状況が変化する度に、世界中の一般人やデジモンパートナーの子供が反応する複数カットを挟むのため、流れを途切れさせてしまっている。物語の内容的にそうしたカットは必要ではあるが、さすがに多すぎたように思う。

クレジットを見る限り、「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」に参加されていたような巧いアニメーターの方々が複数人いれば、映像的には良くなったんだろうなと思ってしまう。
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