ちひろ

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のちひろのレビュー・感想・評価

4.4
しんちゃんの映画の中で1番好き。

この映画は、子供層ではなく、完全に大人層に向けて作られている。なので、大人の方、特に60代〜70代の人に見て欲しい。その方々は、絶対懐かしさを感じると思う。

私が、これを最初に観たのが、小学校低学年の時で、初めて見て、『よく分かんなかったけど、ひろしが面白い。』くらいにしか感じなかったけど、高校生になって、改めて観てみて、『え、なにこれ、泣ける😭』ってなって、この映画の良さに気づいた。私は、20世紀に生まれていないので、時代背景とか、この時期に流行っていたモノとかは、よく分からないのだが、この映画では、なぜかこの20世紀の風景を知っている。という謎の感覚になり、自分は、あたかもその場所にいたような、そんなふわふわした気持ちになった。

この映画の会話の中で、作中の敵キャラのケンが『昔、外がこの町と同じ姿だった頃、
人々は、夢や希望に溢れていた。21世紀はあんなに輝いていたのに、今の日本に溢れているのは、汚い金と、燃えないごみぐらいだ。』と言っているシーンがあって、今の社会風景と重なるセリフだと思う。

また、今作の泣けるシーンがあって、多分皆さんご存知の、ひろしの回想シーン。あの音楽と、ひろしの人生を送るワンシーンワンシーンが、涙無しでは観られない。ここの場面だけ、すごく現実味があって、幼少期の恋愛、地元から離れる一人暮らし、慣れない仕事、妻との出会い、子供の誕生、温かい家族、こんな人生の一連の流れを、本当に上手く表現していると思う。時間をかけて築いた家族を、自らの手で壊してしまったことを後悔するひろし。そんな父を、優しく慰めるしんちゃん。この親子には泣かされる。

大人になるにつれ、味がでる。大人向けのしんちゃん映画。
ちひろ

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