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自由を我等に 4K デジタル・リマスター版のkojikojiのレビュー・感想・評価

3.7
ルネ・クレールのドタバタ音楽劇で、監督のコメディ映画の頂点の作品とされている。
肝心のところ以外ほとんど台詞がないので、
無声映画を観ているような錯覚に陥いる。時に歌が流れ、あとはずっと音楽が流れているので「音楽劇」というのだろう。
貧富の差が広がる社会への批判や機械化への社会風刺をこめ、男たちの友情と恋を描いた作品。

この映画はどんなストーリー展開になるのか想像できず、なかなか面白い。ルイとエミールのでこぼこコンビがいい。
ラストの弥次喜多道中みたいな雰囲気も「自由を我等に」にふさわしく非常に気持ちがいい。

ルネ・クレール監督はチャップリンの信奉者だったらしいが、逆にこの映画は明らかにチャップリンの「モダンタイムズ」に大きく影響を与えている。
ベルトコンベアーによる流れ作業に、付いていけない主人公が、一旦流れを乱した後のドタバタや、社長が社員を呼ぶための夢のような機械等モダンタイムズで観たようなシーンがかなりある。もちろんテーマの中に資本主義社会における自動生産への風刺という一面があることも同じだ。
因みにモダンタイムズ制作年は1936年だから、この映画制作年から5年後の作品となる。

#1932 2023年 464本目
1931年 フランス🇫🇷映画
監督:ルネ・クレール

刑務所仲間のルイ(レイモン・コルディ)とエミール(アンリ・マルシャン)は脱獄を図るが、ルイだけが脱獄し、エミールは捕まってしまう。
ルイはレコードを売る露天商から蓄音機の大会社の社長にまで出世する。
刑期を終えたエミールは、ジャンヌという女性に一目ぼれするが、彼女は偶然にもルイの会社の工場で働いていた。そして、この工場でエミールとルイは再会することになる。

主人公のルイを演じるレイモン・ゴルディは巴里祭では、主人公の友人の役で最後まで二人に絡む脇役で出ていた。
気になって調べたら、晩年までクレール監督作品の欠かせない名脇役で知られているらしい。
名脇役の彼が、この作品では、友情にあつく、はちゃめちゃな部分がありながら、しっかり貫禄も見せる魅力的な主人公を見事に演じている。
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