ゆず

サマーゴーストのゆずのレビュー・感想・評価

サマーゴースト(2021年製作の映画)
3.8
物語は、ある夏の出来事。ネットで知り合った3人の高校生が、都市伝説として囁かれる"サマーゴースト"を探しに行くことに。その幽霊は若い女性の姿で、花火をすると現れるという。それぞれに悩みを抱えた3人にはサマーゴーストに会わなければならない理由があった。そしてサマーゴーストも、ある心残りを抱えていたのだった。

イラストレーターloundrawによる短編アニメーション映画。loundrawは小説の装画などを多数手がけ、「君の膵臓を食べたい」「君は月夜に光り輝く」「余命10年」など映画ファンに馴染みのある作品にも関わっている。

全体としては、新海誠以降の作品らしく青春の輝きとその儚さが感じられるが、作風はテーマのせいもあって陰鬱な印象。メジャーなアニメ映画とは違って大衆受けは狙ってなさそうなところが良い。
なんとなく自主制作っぽさがあって、作家性がそのまま感じられる。

細部では、アニメーションの動かし方が独特な部分があり、そこを動かすのかと少し驚くカットもあった。
この辺にも自主制作っぽい独学っぽさがあり、けれどけっして拙くもなく、悪くないと思う。

死を扱うストーリーや、少し年上のおねえさんへの憧れには、少し"若さ"を感じたりもした。loundraw監督はまだ20代ということで、単純に若い感性に触れられて嬉しかった反面、年上おねえさんの描写は少しこそばゆかった。(私にも思い当たる部分がある)
ただ、死を描いた本作のどうしようもない儚さは、本作の大きな魅力だと思う。
きっと若い世代にほど刺さる作品。
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