クドゥー

サマーゴーストのクドゥーのレビュー・感想・評価

サマーゴースト(2021年製作の映画)
4.5
『燃える魂がささやく、生きたくて生きていたこと』

死に触れようとする三人の高校生と若い女性の幽霊との交流を描くloundraw監督作品は、等身大と呼ぶにはあまりにも切実なものを抱えている者たちのひと夏の冒険の果てに、人生の無限の可能性が待っている短編アニメーション映画の最高傑作。

「いじめ」や「病気」などバイアスになりかねない要素を「過ぎ去るもの」とする大きな視点で、カットを紡ぐ余韻と余白で観客をどこまでも遠くに連れて行くようなヴィジョンの虜、これを小説で読んでも全く面白くないというのが映像作品に対する最大の讃辞である。

劇場上映することに敬意を表するように一音一音丁寧に振られていくサラウンドも最高に美しく、作品のトーンに徹することが何よりもエモいことをわきまえた密度の塊みたいな芝居、選ばれしストーリーテラー誕生の瞬間に立ち会えたことは僕の誇りだ。



鑑賞記録
2021.11.12
TOHOシネマズららぽーと横浜5
→サウンドデザインがあまりにも素晴らしいことを前提として、劇場の大きさで作品の印象が変わりそうなことも興味深い。今回は中箱で自分だけの作品を見つけたという感じだが、ラージフォーマットではどう思うだろうか。次の行動は決まりました。

2021.11.14
TOHOシネマズ池袋10
→ここでは作品が誇るポテンシャルが露わになる、僕が知る中でも最もハードルの高い劇場での上映。オーバースペックが明らかになってもなお、誠実にオンリーワンを刻み続けることに映画館の夢がある。この素晴らしい体験が来週以降もあることを祈って。

2021.11.21
TOHOシネマズ池袋5トークイベント付き上映会
→箱の設計が違うから当然とはいえ同じ映画館でこうも変わってくるとは。もうちょっと煽ってあげてもと思う閾値のギリギリで、柔らかな音の輪郭がこの作品に良く似合っている。プレミアと併せて経験できたことを僕は本当に幸運に思う。
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