「少年の君」や「僕らの先にある道」「素晴らしき眺め」もそうなんだけど、中国の青春映画はどうしてこうも夢中にさせる作品が多いのか？
それはもうハッキリしていて、登場する若者に迷いが無く、どこまでも真っすぐだから。厳しい受験戦争や経済的な成長を急ぐ政府など、背景には諸々の問題があるのだろうけど、そんな社会だからこそ若者は、男も女も夢に向かって突き進む。
本作は、高校時代に出会った優等生女子と落ちこぼれ男子の出会いから、10年間を日めくり形式で描く、熱くて切ないラブストーリーだ。男子は、アジア系の映画で良く見かける建築系の仕事に従事。国や経済が発展する中で、成長あるいは挫折する姿が、象徴的に描かれる。
日本や韓国だと、必死に頑張る事が格好悪いというシニカルな視点があったりするのだが、僕の知る限り中国映画でそのような若者を見た事が無い。それが凄く新鮮、あるいは昭和の青春ドラマを見ているような懐かしさもあったりで、夢中になって観てしまう。
振り回される女子が可哀そうというのは、少しシニカルな日本人の視点で、中国でそういう見方をする人は少ないのではないだろうか、、、。ヒロインを演じるチャン・ジンイーは、恐らくこれがデビュー作と思われるが、強さと脆さを併せ持つ人物像を見事に演じていて、目が釘付けになった。本国では興行収入65億円の大ヒット作になったそうだ。
